IATA、アジア太平洋の旅客数は2050年に現在の3倍へ 空港容量逼迫や燃油高などが課題【#IATAAGM】

国際航空運送協会(IATA)は、ブラジル・リオデジャネイロで開催中の年次総会(AGM)で、アジア太平洋地域の航空業界の現状と課題に関するメディアブリーフィングを実施した。

アジア太平洋の旅客需要は今後20年にわたり年3.8%程度の成長が続き、2050年頃には旅客数が現在の約3倍に達すると予測。中国とインドが牽引役となり、人口の多さや比較的若い人口構成、中所得層と富裕層の継続的な拡大を要因としている。中東情勢や政治的問題によって、根本的な需要が変わるものではないとしている。

この成長を支えるため、中国を除くアジア太平洋地域だけで約90の空港プロジェクトが進行中で、2040年までに2.4兆ドルの設備投資が見込まれ、このうち半数以上がアジア太平洋地域に集中している。一方で2040年代には全空港の約88%が容量逼迫に達すると予想されており、特に地方空港でのインフラ整備が急務とした。問題は将来の需要に見合った適切な規模の設備が整っているかにあり、ターミナルや空港のレイアウトは、単なる交通量だけではなく、将来の顧客ニーズや接続パターンを反映すべきであると指摘した。

さらに、インフラ整備のための資金調達には透明性や客観的なプロセスが必要であり、何が建設され、資金がどのように使われ、改修されるのか、その費用分担について明確化することを求めた。資金調達の方法が最適でない場合、持続不可能な空港使用料を求められる可能性があるとしており、世界の様々な地域で繰り返しみられうリスクとして提示した。

燃油コストについては、ジェット燃料が1バレル218〜220米ドルのピークから足元では150〜160米ドル程度に低下しており、短期的な業界への大規模な影響は限定的とみている。アジア太平洋地域の航空会社は、特に燃料価格の高騰による影響を受けやすいものの、業界はこの数年好調であり、短期的では現在の状況を乗り切れるとみている。初期対応として輸送能力の調整が有効であり、国内線と地域間路線で調整が行われている一方、長距離路線の需要は比較的堅調だという。

アジア太平洋の航空会社の平均純利益は旅客1人あたりわずか3ドルと薄利であり、各国政府に対して航空への課税強化を避けるよう訴えた。スウェーデンが2018年に導入した航空税が路線・接続性の喪失を招き、2025年7月に撤廃した事例を具体例として挙げた。航空業界は乗数効果をもたらし、航空業界に1米ドルを投下することにより、経済の他の分野で3.70米ドルの追加的価値を生み出すことを調査結果をもとに説明した。

持続可能な航空燃料(SAF)については、2026年の世界生産量が約240万トン(必要量の約0.8%)にとどまる見込みで、アジア太平洋では今後5年以内に28のプロジェクトが稼働可能とした上で、供給拡大に向けた政府のインセンティブ整備を求めた。インド、中国、インドネシア、マレーシアを重要な供給源として挙げた。

旅客の権利保護については、EU261に代表される罰則型の規制が業界に年間80億ドルのコスト負担をもたらしながら定時性改善に貢献していないとして、透明性を高める協調的アプローチを提唱した。