JAL機と海保機衝突事故、JAL機装備拡声器の伝達範囲不十分 運輸安全委員会調査

運輸安全委員会は、2024年1月2日に羽田空港で発生した、日本航空(JAL)機と海上保安庁機の衝突事故で、JAL機に装備されていた拡声器の伝達範囲が不十分だったことが判明したことを明らかにした。

JAL機には、緊急事態や非常時に乗務員間の意思疎通や乗客に対する指示・案内を機内や脱出後に行うための拡声器が装備されていた。事故発生時に機内放送システムが作動しなかったことから、拡声器を使用した客室乗務員がいたものの、効果が感じられず使用を中止した人もいたことが事故調査で判明した。

運輸安全委員会とエアバスが被害軽減に関する分析の一環として、同型式の拡声器の検証を行った結果、指示の伝達範囲が不十分であることが判明したという。

機体最前方L1ドア付近から客室後方に向けて脱出指示を発声し、各出口に配置した客室乗務員は指示を聴取できた時点で、同形式の拡声器を使用してさらに後方に伝達する方式によって、指示がどこまで伝達されるかを検証したところ、L2とR2ドア付近では聴取可能だったものの、L3とR3ドア付近では聴取困難、L4とR3ドア付近では聴取不可能だった。

発声者の口と拡声器のマイクとの距離を0センチとし、6か所に設置した集音マイクで音量を計測し、機内に配置した客室乗務員と客室各所に配置した乗客約の調査官による評価を行った。

検証に当たっては、非常脱出の際、右エンジンが回転を続けており、客室乗務員により乗客を落ち着かせるためのパニック・コントロールも行われていたほか、乗客が声を発していたことから、これらの騒音環境を模擬等するとともに、客室乗務員の発声場所や拡声器の使用・不使用の条件を変更しつつ検証を実施したという。

運輸安全委員会は、同形式の拡声器が事故機と同型のエアバスA350-900型機以外の航空機にも装備されていることから、同様の事象がエアバスA350-900型機以外にでも発生する可能性があり、対策の検討を要すると判断したため、国土交通省航空局に対し情報提供を行った。