経済的理由で夢諦めないで JAL、次世代担う若者に約89万キロ分の航空券提供
パリ五輪出場のJAL所属選手、社員へ報告会 ボーイング機廃材で記念品
日本航空(JAL)は9月17日、同社のアスリート社員で、パリオリンピックに出場した陸上競技の北口榛花選手と村竹ラシッド選手、フェンシングの加納虹輝選手による社内向けの報告会を都内で開いた。
パリオリンピックでは、北口選手は女子やり投げで日本人史上初の金メダルを獲得、村竹選手は110mハードルで日本人史上初の5位入賞、加納選手はフェンシング男子エペ個人で日本人史上初の金メダル、団体戦で銀メダルを獲得。海外開催のオリンピックでは過去最多となる計45個のメダルを獲得した日本選手団の一員として、大きく貢献した。
会場となった東京・天王洲のライブハウス「KIWA」には、JALの鳥取三津子社長や赤坂祐二会長のほか、約80人のグループ社員が集まった。冒頭であいさつに立った鳥取社長は、「日本代表として輝かしい成績を残してくださった。みなさんがJALグループの社員であることを誇りに思っている」と選手を祝福し、「いつも緊張されていると思うので、今日はリラックスして楽しんで」と声をかけた。
選手と社員の交流タイムでは、リスク管理部の社員が大会中に直面したリスクとその対処法を質問。北口選手は「自分の環境を作りやすいように、フィールドに用意されている椅子には座らず、自分のタオルを敷いて寝そべっている」と、緊張防止のために普段のスタイルを貫いているというエピソードを披露。
一方で加納選手は、「フェンシングは常にリスクを抑えて相手に仕掛けるスポーツ。常日頃からリスクマネジメントはできていると思う」と回答して会場を唸らせた。さらに村竹選手は、国内で使われているハードルバーがプラスチック製であるのに対し、パリ五輪のものは木製で、ぶつかるとタイムロスにつながると説明し、「大会前に会場に通って木製ハードルに慣れる練習をした」と話した。
報告会の終盤では、金属板に各選手の名前とJALのロゴを刻んだ記念の盾が選手に贈呈された。これはボーイング777型機、767型機、737-800型機の外板修理用の廃材を活用して整備士が手作りしたもので、機体の注意表記と同じ書体で名前を刻んでいるという。
最後のあいさつで北口選手は、「来年の世界陸上は連覇がかかる試合。緊張すると思うが、競技場に知っている顔があればあるほど探して楽しめるので、ぜひ競技場に来て応援してほしい」と社員に呼びかけた。
加納選手は「少し悔しい結果に終わったが、『金メダルと銀メダル、2つの種類を見られていいね』という声をいただいて、今回はこれでよかったのかなと思っている。4年後のロサンゼルスオリンピックでは金メダルを2つ持って帰りたい」と抱負を語り、村竹選手は「メダルにはあと少し届かなかったが、初出場のオリンピックで目標の決勝進出を達成でき、次につながる結果だった。冬、春にしっかり力をつけて先のステージに臨みたい」と意気込みを見せた。
赤坂会長は「いいことばかりではないオリンピックだったという話を聞き、改めてみなさんの向上心を感じた」とコメントし、「世界陸上や(フェンシングの)世界選手権でも、まだまだ成長する姿を見せてほしい」とエールを送った。