”高級西成ホテル“JUNON Groupの基幹的存在「ホテルジパング」【はんつ遠藤の大阪・西成C級ホテル探検(16)】

各フロアには、男女別のトイレがあった。もちろんウォシュレットタイプ。

非常階段も分かりやすく、火災など有事の際も安心。

1階のほか、2~4階にも共用のキッチンがあった。

シャワールームは4基設置されていた。JUNON Groupお揃いのオリジナルシャンプーなど。きちんと清掃も行き届いている姿に敬服すら覚えた。共用のドライヤーももちろんあり、その奥のドアを開ければ、洗濯機&乾燥機(ともに有料)も備え付けられていた。

シャワーを浴びてドライヤーで髪を乾かした後、僕はコンビニに夕食を買いに出かけた。

全国旅行支援の2,000円クーポンで、また居酒屋などに行くのも良いが、今回は復路がLCCのピーチで関西空港→成田空港なので、クーポンは関空第2ターミナルのゲート内でお土産を購入することにしたのだ。ピーチは手荷物がキロの制限があり、ゲート入場時に重量検査がある。ゲート内で購入することにした理由は書けない。

ホテルを出たのは午後7時前だった。ふと思いつき、東方向へと少し歩いた。

「大阪救霊会館」、西成に数か所存在するキリスト教の教会のひとつ。ウェブによると、日本ペンテコステ教団の運営で、プロテスタントのよう。

西成には、さまざまな方が居住している。日雇い労働者や生活保護受給者、皆それぞれ過去を抱えて生きている。その拠り所となっている教会のひとつがこちら。

ちょうど、礼拝が終わったのだろう。ぞろぞろと礼拝者たちが出てきた。

翌朝の西成も天気が良かった。部屋の窓を開ければ隣のビルで、眺望は何も期待できなかったが日の光も入るし、窓があるだけ何より。

「ホテルジパング」は大浴場があるのも魅力だ。

しかも男性大浴場は午前7時半〜10時と午後3時〜午前1時、隣接し奥で繋がっているHOTEL SUNPLAZAⅡANNEXにある女性大浴場は午前7時半〜10時と午後3時〜10時の営業なので、ともに朝に入浴することも可能。さすが1泊3,000円クラスの“高級西成ホテル”だ。

チェックアウト後、久々に西成の街を散策してみた。

2019年3月に老朽化のため閉鎖された「あいりん総合センター」の外側敷地内には、相変わらず路上生活者が何人もいた。近隣に星野リゾート系ホテルや煌びやかな”高級西成ホテル“が建ち、日々変わっていくように見えても、何も変わらない、何も変われない西成も、そこにあった。

■プロフィール  
はんつ遠藤
1966年東京生まれ。早稲田大学卒。不動産会社勤務を退職後、海外旅行雑誌のライターを経て、フードジャーナリスト&C級ホテル評論家に。飲食店取材軒数は1万軒を超える。主な連載は「週刊大衆」「東洋経済オンライン」など。著書は「取材拒否の激うまラーメン店」(廣済堂出版)など27冊

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