ユナイテッド航空、デルタ航空の羽田未使用発着枠の割当て求める 発着地条件付き自由化の拒否を求める意見書提出

ユナイテッド航空(ボーイング787-10型機)

ユナイテッド航空は、デルタ航空がアメリカ運輸省に提案している、羽田空港の一部発着枠のアメリカ側の発着地の条件付き自由化に反対する意見書を提出した。

デルタ航空は、現在割り当てられている羽田空港の発着枠のうち最大2枠を、任意の路線に利用できるよう求めており、デルタ航空の提案後、アメリカン航空が賛同する意見書を提案している。

ユナイテッド航空は、「限定的な発着地自由化という前例のない『パイロットプログラム』という、デルタ航空の身勝手な計画を拒否し、完全な公共の利益の評価に基づく公平な配分を行う必要がある」、「デルタ航空とアメリカン航空は、消費者の利益より自社の利益を優先させている」、「消費者をデルタ航空のネットワークの利益を最大化するための実験に参加させるもの」などと強く非難。これまでの当局や都市などの努力と投資をすべて無視するもので、さらに2枠であることや、3年間であることの根拠を示していないことから、デルタ航空が3年後に、不振の羽田路線が財務上有利になるものと予測したと指摘した。

特に、発着枠を獲得したものの運航していない、ホノルルとポートランドの2つの路線が発着地変更の対象になると予測し、特にポートランド線の現在販売中の最低運賃は1万米ドルを超えていることから、「競争力を維持するための価格設定ではなく、予約の殺到を抑えるための価格設定であり、近い将来のサービス縮小を示唆するもの」とした。同日程のユナイテッド航空のポートランド行き最安値は1,888米ドルだった。

日米間の旅客需要は回復していることから、デルタ航空の提案書にある需要回復の動向は正確なものではなく恣意的だとしており、日本政府は新型コロナウイルスに関連する出入国要件を緩和したばかりで、韓国やシンガポール(いずれも28ポイント増)、オーストラリア(19ポイント増)と同様に、海外旅行需要は急増すると指摘した。ユナイテッド航空では今夏以降の完全な需要の回復を見込み、10月28日から東京/成田〜ロサンゼルス線の運航を再開すると表明した。

ユナイテッド航空はアメリカ運輸省に対し、デルタ航空の提案を拒否し、わずか半ページのアメリカン航空の賛同する意見書はこの問題を真剣に検討していないものとして、却下するよう求めた。羽田空港の未使用発着枠、特にデルタ航空が運航することが困難であるとみられる2枠を、ユナイテッド航空のように活用ができる航空会社に再配分や、未使用枠を活用できるバックアップ権を割り当てるよう要請した。ユナイテッド航空の拠点で羽田発着便がなく、2019年の発着枠割り当て時に路線開設を提案していた、ヒューストンとグアムの両自治体もデルタ航空の提案に異議を唱えており、ユナイテッド航空の東京/羽田〜ヒューストン・グアム線の開設を改めて支持している。

羽田空港の発着枠を有するアメリカの航空会社のうち、ハワイアン航空のみが意見書を提出していない。ハワイアン航空は、ホノルルへ週11往復、コナへ週3往復の運航を認められているものの、拠点空港がホノルルのみであるハワイアン航空にとって、デルタ航空の提案に賛同するメリットは薄い。