機内に手術室 オービス、MD-10「フライング・アイ・ホスピタル」関空で公開

ニューヨークを拠点に世界中で眼科医療活動を行う非政府組織(NGO)のオービス・インターナショナルは4月21日、MD-10型機の機内に眼科手術室を備えた「フライング・アイ・ホスピタル」(機体記号:N330AU)を関西国際空港で公開した。日本での公開は初めて。

フライング・アイ・ホスピタルは機内に眼科治療設備を整えた世界で唯一の機体。かつてフェデックス・エクスプレス(FedEx)から寄贈されたMD-10Fを改造し、2016年から運航している。機内には手術室のほか、手術前後のケアルーム、レーザー治療やシミュレーショントレーニング機器などが備わっている。また、機内前方には46席を設けたクラスルームエリアがあり、教育病院として医師の研修を行うことも可能。手術室で行われている手術をライブで見学できるほか、双方向マイクシステムで外科医が詳細を説明したり、研修生が手術について質問したりすることができるという。

▲フライング・アイ・ホスピタル機内の手術室

FedExはグローバルスポンサーとして、パイロットの派遣や機体整備を行っているほか、毎年15万米ドル相当の医療用品の輸送などで協力している。また、参天製薬や光学機器メーカーのHOYAなどの日本企業も、医療的な協力を行うパートナー企業として名を連ねている。

フライング・アイ・ホスピタルはこれまでもテクニカルランディングで日本に飛来したことがあるが、機内の公開はなかった。今回は日本親善ツアーの一環で、4月25日までの間、報道陣などに公開する予定。航空機の位置情報を提供するサービス「Radarbox」によると、機体は4月18日にフィリピンのクラーク国際空港を出発し、関西国際空港に飛来。同日午後3時31分に着陸している。

4月21日に関西国際空港で開かれた会見でオービス・インターナショナル社長兼CEOのデレク・ホドキー氏は、「コロナ禍が収束し、自由に移動できるようになったこのタイミングで日本を訪れることを決めた」として、親善ツアーで日本のパートナー企業に謝意を伝え、活動を日本人に向けて周知したいと話した。

▲オービス・インターナショナル社長兼CEO デレク・ホドキー氏

なお、現在のフライング・アイ・ホスピタルは3代目の機体。初代はユナイテッド航空から寄贈されたDC-8型機(機体記号:N220RB)で、1982年に就航。2代目はファンディングで取得したDC-10型機(機体記号:N220AU)で、1992年から2016年まで活躍した。3代にわたってこれまでに95以上の国で、ボランティアの医療現地の眼科医に医療ノウハウを提供したという。

▲フライング・アイ・ホスピタル機内のクラスルームエリア

▲フライング・アイ・ホスピタル機内のレーザー治療・シミュレーショントレーニング室

▲フライング・アイ・ホスピタル機内の手術前後のケアルーム