エミレーツ航空、約60億米ドルの最終赤字 過去30年以上で初

エミレーツ航空(エアバスA350-900型機)

エミレーツ・グループは、2021年3月期決算で、過去30年以上で初めての最終赤字となったことを明らかにした。

売上高は356億ディルハム(97億米ドル、前年比66%減)、純損益は221億ディルハム(約60億米ドル)の最終赤字だった。現預金は198億ディルハム(54億米ドル、同23%減)となった。

エミレーツ航空では、旅客数と貨物輸送能力は58%減少し、248億有効輸送トンキロとなった。約8週間の運航停止などが響いた。エアバスA380型機3機を導入した一方、ボーイング777-300ER型機9機とラバスA380型機5機の計14機を退役させたことから、期末時点での機材数は259機に縮小した。現時点では200機の発注予定には変更ない。

エミレーツスカイカーゴは事業規模を拡大し、総売上高の60%に貢献した。ボーイング777-300ER型機のエコノミークラスを取り払った「ミニフレイター」19機を就航させるたほか、荷物棚や座席を利用した輸送も行った。dnataは現存費用などを計上し、18億ディルハム(4億9,600万米ドル)の最終赤字となったものの、企業買収や重要な設備投資を加速させた。

新型コロナウイルスによる規制や、渡航制限による需要低迷が原因。エミレーツ航空はドバイ政府から113億ディルハム(31億米ドル)の出資を受けたほか、dnataは約8億ディルハムの救済資金を受け取った。契約の再交渉やオペレーションの統合により、推定77億ディルハムのコストを削減した。また、創業後初となる全部門を対象とした従業員の削減を実施し、従業員数は75,145名(同31%減)となった。一方で、新機材や設備、企業の買収などに47億ディルハムを投資した。

シェイク・アハメッド・ビン・サイード・アル・マクトゥーム会長兼最高責任者は、「新型コロナがいつ収束するかは誰にもわかりませんが、回復に時間がかかることは予測しています。パンデミック開始時に強い姿勢で臨んだ経済や企業は、より良い形で立ち直ることができるでしょう。2020-2021年以前、エミレーツとdnataは、堅実なビジネスモデル、能力とインフラへの着実な投資、イノベーションへの強い意欲、そして安定したリーダーシップチームに導かれた深い人材プールに基づいて、成長性と収益性の高い実績を残してきました。これらの成功の基本的な要素は変わっていません。経済活動を成長させ、未来の都市を構築するというドバイの変わらぬ野心とともに、エミレーツとdnataは回復し、以前よりも強くなると確信しています。今後1年間は、流動的な市場に対応するため、引き続き迅速なアプローチを採用していきます。我々は可能な限り早く運航率の回復を目指し、お客様にサービスを提供しながら、パンデミックの影響を受けた経済や地域社会の再建に引き続き貢献していきます」とコメントした。

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