未来の単通路機は快適性も重要 LIFT Aero Designが新コンセプト「PARADYM」を発表

航空機のデザインを手掛けるLIFT Aero Designは、単通路機向けの未来のシートデザインとレイアウトコンセプト「PARADYM」を発表した。

「PARADYM」は、単通路機が中長距離路線に投入されるようになることや、ビジネスクラスのようなサービスを求めないものの、フルフラットシートを利用したいという需要、航空会社の収益の最大化などの要因を考慮しつつ、高い快適性を兼ね備えたシートやレイアウトのコンセプト。

現在、ビジネスクラスとエコノミークラスの客室は分離されているものの、「PARADYM」では客室すべてを「3-3」配列とし、エコノミークラス、プレミアムエコノミークラスのほか、「プレミアムエコノミーフラット」や「ビジネスクラスライト」など、複数のプロダクトとして販売できるようにした。

従来の単通路機では、座席幅は17〜18インチ、座席間の肘掛けは1本であるところ、「PARADYM」では、3席で従来の4席相当の横幅を持たせ、座席幅を20インチ、肘掛けは2本に大型化。プレミアムエコノミーとして利用する場合には肘掛けを1本上げて中央席を利用しない状態、「プレミアムエコノミーフラット」などとして販売する場合には肘掛けをすべて上げ、座面の先端部分を持ち上げることで、全長175センチのフルフラットベッド状態とするなど、差別化を図る。頭部を支えるフルラップヘッドレストは、隣の乗客と目が合わないように大きくなり、プライバシーを確保している。

航空会社にとっては、すべての座席を「プレミアムエコノミーフラット」として販売することも、エコノミークラスとして販売することもできる。客室開発の簡素化や部品の最小化も見込め、コストを低く抑えつつ、収益の最大化を図れる。

世界の各都市にインスパイアを受けたシートデザイン「PARADYM WORLD COLORS」を発表。第1弾は代表のダニエル・バロン氏が住む東京で、ヘッドレストのレザーカバーは、東京の街路図を組み合わせたデザインで、生地などで、環境、食文化、ファッションなどを表現した。

LIFT Aero Designは、2009年に設立。東京とシンガポールに拠点を置き、これまでに香港エクスプレス航空やバンブーエアウェイズなどのブランドデザイン、フィリピン航空やスカイマークなどの客室デザインを手掛けている。2019年に刷新した、本誌のブランドデザインも、LIFT Aero Designが製作した。