航空会社の株主優待券、激戦地で800円台も テーマパーク券も割安、新幹線回数券は底堅い

ニュー新橋ビル

多くの金券ショップが軒を並べる、東京・新橋駅前のニュー新橋ビルでは、ついに大手航空会社の株主優待券の価格が800円台に突入した。テーマパークチケットも値下がり傾向にあるものの、新幹線回数券の価格には底堅さもみえる。

2020年11月下旬には1,000円台前半だった大手2社の株主優待券の価格は、新型コロナウイルスの感染再拡大よる需要の悪化などを背景に、12月には900円台に突入。緊急事態宣言が延長された2月には、800円台も見受けられるようになった。

ニュー新橋ビル内で最安だったのは、いずれも2021年5月末に期限が延長された、当初は2020年11月30日が期限の優待券で、全日本空輸(ANA)が850円、日本航空(JAL)が900円でJALのほうが若干割高だった。ちなみに2021年11月30日が期限のものは、ANAが1,150円、JALが1,050円と、年末の調査時よりそれぞれ若干値上がりしている。

株主優待券は直近の予約が多いビジネス目的での利用に加え、お盆や年末年始など、割引運賃の設定が少ない時期に多く利用される傾向にあるものの、これらの需要が消滅したことに加えて、本来であれば両社ともに、2021年5月末と同11月末が期限の2種類のみが販売されているはずのところ、有効期限が半年延長された今年11月末が期限の株主優待券が継続して販売されていることによる、供給過剰状態であることも背景にある。

ちなみに株主優待券を利用した場合、東京/羽田〜福岡線・普通席の片道運賃は、ANAは21,300円、JALは22,600円(3月7日搭乗分)となる。普通運賃は両社ともに4万円台で、割引運賃のほうが割安であるものの、フライトの変更や払い戻しが可能であることや、プレミアムクラスやファーストクラスの割引率が高いことを考えると、使い勝手が良い。

この他に目立ったのは、テーマパークのチケットの割引率が非常に高いことだ。ある金券ショップでは、東京ディズニーリゾート(定価8,200円⇒5,490円)、サンリオピューロランド(同3,000円⇒300円)など、レジャー需要の蒸発が与える影響は大きい。一方で堅調なのは、前回の緊急事態宣言時には投げ売りだった、「稼ぎ頭」である新幹線回数券。東京〜名古屋間は10,000円弱、同京都・新大阪間は12,000円台と、値下がり幅は限定的だ。

両社ともに、増資によって発行される株主優待券の総数は増加することとなるほか、需要の悪化も重なり、当面の間は販売価格が低空飛行を続ける可能性が高いとみられる。一方で、仕入れ値を考えると、今後の値下がりは限定的という見方もある。