2020年の宿泊業の倒産、前年比1.5倍増の118件 「不況型倒産」が9割

東京商工リサーチ

東京商工リサーチによると、2020年の宿泊業の倒産は、前年比1.5倍増の118件と7年ぶりに100件台に達した。

新型コロナウイルスに関連した倒産の割合が業種別で最多となり、半数近くを占めた。新型コロナウイルス関連での倒産件数トップとなった飲食業の16.3%、アパレル関連の16.0%を大きく上回る。

WBFホテル&リゾーツロイヤルオークリゾートなど、2020年に倒産した宿泊業者は、元々業績低迷や債務過多に陥っていたところが多い。原因別では、販売不振が79件、既往のしわ寄せ(赤字累積)が22件、代表者の死亡などの偶発的原因が6件だった。既往のしわ寄せ、販売不振、売掛金回収難による不況型倒産は101件だった。負債総額は580億1,200万円で、前年に400億円台の倒産が2件発生した反動減となった。

外国人観光客の入国禁止や、緊急事態宣言の発令による外出自粛で大きな影響を受けた。Go To トラベルキャンペーンでは、一部の人気観光地や宿泊施設に予約が集中し、恩恵を受けることができない施設もあり、11月以降の感染第3波により、再び苦境に追い込まれている。

東京商工リサーチでは、1月7日の非常事態宣言の再発令で、政府の支援金や金融機関の緊急融資制度などで資金繰りを支えられてきた宿泊業者が、息切れする可能性も危惧されると警鐘を鳴らしている。限られた地域と設備による装置産業の宿泊業は、業績が戻るには相当の時間を要することから、地域を巻き込んだ集客策と同時に、事業継続や事業転換に向けた弾力的な支援も必要になると提言している。