全ての人が移動しやすい社会に ANAと京急、「ユニバーサルMaaS」実装へ連携

全日本空輸(ANA)と京浜急行電鉄(京急)は、横須賀市、横浜国立大学と共同で、移動にためらいのある人がストレスなく移動できる「Universal MaaS」の社会実装に向けた連携を始める。

これまで、身体に障害があるなど、移動に際してサポートが必要な人は、交通機関や訪問先の施設に自ら連絡してサポートを要請する必要があった。「Universal MaaS」では、スマートフォン等のアプリを使って情報を設定するだけで、各公共機関や施設に移動者の情報がシェアされ、サポートの準備がしやすくなる。また、移動者に対しては交通機関の運賃や運航・運行状況、バリアフリー乗り継ぎルートなどの情報を提供し、ストレスなく移動ができるようになる。

4者は2019年6月から産学官共同プロジェクトを開始。羽田空港第2ターミナルから横須賀美術館までのルートで実証実験を繰り返し、「Universal MaaS」用のプロトタイプアプリを開発した。今後、様々な特性の移動者と各施設・機関で試用を重ね、2020年度内の社会実装開始を目指す。

ANAの平子裕志代表取締役社長は、「これまでは主に車椅子の利用者に焦点を当てていたが、今後は全ての人とって不自由のない移動サービスを作り上げていきたい」と意欲を示した。

「Universal MaaS」を発案したのはANA MaaS推進部の大澤信陽さん。きっかけは、車椅子での移動に不安を感じている大澤さんの祖母が、「周りに迷惑をかけたくない」と東京への旅行を躊躇していたことだったという。大澤さんは、「日本全国や世界にUniversal MaaSの輪を広げて、誰もが移動を諦めない世界をつくりたい」と話した。

発案者の大澤さん(中央)

交通機関・施設用アプリ。移動者の情報や現在地が確認できる。

移動者用アプリ。現在地や乗り換えルートなどを表示する。