エコロジーを追求した未来の鉄道、速度競争は終焉【さかいもとみの旅力養成講座】

日立、イタリア製通勤車両をお披露目

今回のイノトランスでは、同展示会で史上初となる日本メーカー製の車両実物が展示されました。

会場でお披露目されたのは、日立製作所傘下の日立レールイタリアが現地生産した二階建て通勤車両「Rock」。日本と優れたエンジニアリングと、イタリアのものづくりの職人技を合わせて生産された車両で、2019年6月ごろから順次、営業路線に投入される見込みです。

実は展示会場には、日本の鉄道部品メーカーや鉄道運行会社を一堂に集めたいわば「日本館」が設けられ、日本の技術の優位性を積極的にPRしていました。しかし、この方法の展示は果たして世界の人々にどんな形で映るのでしょうか。

都市の魅力ある見せ方や交通インフラについて研究している広島大学大学院総合科学研究科の匹田篤准教授は、今回の出展を見て「日立のイタリア向け車両は、日本のエンジニアリングとイタリアのデザインや居住性のノウハウが合わさった時に、他のグローバル企業と肩を並べる魅力的な製品が生まれた良い例だと思う。ですから、Made in Japan一辺倒の方向性だけが必ずしも良いわけではない」とした上で「同じようなスペックに向かう鉄道業界で勝負して行くには、『高品質なニッポンの技術』を押し付けるのではなく、車両を使う側である鉄道運営会社や利用者の声を聞き、共に作っていくという体制と、それを実現する職人気質の共有が大切だということを、今回の日立のお披露目を通じて感じさせられましたね」と話していました。

果たして、日本由来の別の車両がイノトランスの会場を賑わすのはいつなのでしょうか?鉄道業界でも中国の動きが非常に目立つ中、「世界一」を自認する日本の鉄道業界のさらなる世界展開を期待したいものですね。

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