400キロ乗って1,300円!? ドイツで格安列車が登場【さかいもとみの旅力養成講座】

欧州で「LCT」を走らせられるワケ

3月下旬にドイツに登場した格安列車・FlixTrain(写真:同社提供)

日本の鉄道では、大都市圏で「相互乗り入れ」という形態は取っているところがあるとはいえ、基本的に「ある区間を走る列車に対する運賃は単一の鉄道会社にお金を支払う」という格好となっています。

一方、欧州など多くの国々では、鉄道運営について「上下分離」という形態を取っています。これを簡単に説明すると「上=列車」を走らす会社は、「下=線路」の使用料を支払うことで列車が運行できるといったものです。

飛行機では同じ区間をいくつかの航空会社が競合して飛んでいますよね。「上下分離」では列車が飛行機と同じような格好で運営されているといえばよりわかりやすいでしょうか。

LCCが新たなビジネスモデルを用いて格安サービスを行っているのと同様、格安列車も企業努力や新たな集客方法などを使ってより安い運賃を提供するというワケなのです。

格安列車の気になる運賃は?

購入時期によるものの、9.99ユーロは魅力的な価格だ。(ウェブサイトのキャプチャー)

FlixTrainでは、路線にかかわらず最低運賃は9.99ユーロ(約1,300円)という値段を打ち出しています。ハンブルク〜ケルン間は約4時間、同じ区間をDBに乗ると40ユーロ以上しますから、時間帯さえ合えばFlexTrainはずいぶんとお得、というワケです。

ちなみにこの2都市間は400キロちょっと離れています。東京から新幹線に乗ると名古屋より遠い距離ですから、そもそもDBの40ユーロでも日本の水準と比べるとずいぶん安いとはいえ、FlixTrainはもはや驚異的としか言いようがありません。ただ、格安列車については「当面、ドイツ国内のみで勝負する(同社関係者)」としており、バスのように欧州各地にネットワークを広げる方針にないのが残念となる。

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