エアアジア・ジャパン、MRJ導入の可能性は?

エアアジア・ジャパン,A320初号機,JA01DJ

エアアジア・ジャパンの新造機エアバスA320(機体番号:JA01DJ) © Toshio Tajiri/Flight Liner=15年10月

 エアアジア・ジャパンの初号機、エアバスA320(機体番号:JA01DJ)が10月16日午後、セントレアの愛称で親しまれている中部国際空港に到着し、当日は機体お披露目と同社の新オフィス「Red Base(レッド・ベース)」にて記者会見が行われました。

エアアジア・ジャパン,小田切義憲CEO

中部空港敷地内の本社オフィスで開かれた記者会見にて質問に応じるエアアジア・ジャパンの小田切義憲CEO © Toshio Tajiri/Flight Liner=15年10月

 エアアジア・ジャパンの初号機は新造機のA320。機内は3-3配列の180席で、すべて普通席。シートは黒の革張り仕様です。

 機体外観はエアアジアのコーポレートカラーである赤を基調としたデザインで、主翼左側の下部には機体番号「JA01DJ」を、右側下部にはエアアジアのロゴが描かれています。エンジンはCMFインターナショナル社製のCFM56エンジンを搭載し、主翼端には燃費を削減する大型のウィングチップ「シャークレット」を備えています。

 初号機は11月後半から運航乗務員の訓練に使用され、その後は国が定める実証試験を約2ヵ月間実施。就航当初の開設路線は中部発着の新千歳・仙台・台北(桃園)線、計3路線で、就航前の2016年2月には2号機を受領する予定です。

 エアアジア・ジャパンは中部拠点ということもあり、当日行われた記者会見では記者から小田切義憲CEOに、同じ愛知で三菱航空機が開発を進めるMRJ導入の可能性はあるのか?といった質問も飛びました。一問一答は次の通り。
 
--中部空港を拠点に選んだ理由は?

エアアジア・ジャパン,A320

ウォーターキャノンで歓迎を受けるA320 © Toshio Tajiri/Flight Liner=15年10月

 中部を選んだ理由はいくつかある。最大の理由は中部が24時間空港であることが挙げられる。私どもLCC(格安航空会社)は少しでも飛行機の稼働を高めたいので、早朝深夜に飛行機を飛ばしていきたい。そのためには運用時間が長い空港が必要。中部は24時間空港であることが大きな魅力。

 関空・羽田・成田は他の国内LCCがすでに就航しているが、名古屋を本拠地にしているLCCがない。約1200~1400万人程度の後背地人口がこの周辺にはあるので、その皆様にいろんなところに行っていただけるチャンスがご提供できる。

--機材を増やす中で、中国への路線展開をどのように考えているか?

エアアジア・ジャパン,機内

客室乗務員と180席仕様のA320機内 資料提供:エアアジア・ジャパン

 中期事業計画では年間5機程度、4年で約20機体制になる。A320は4時間から4時間半の飛行圏内なので日本は全域、海外では韓国・中国・台湾・ミクロネシア方面に行ける。

 中国は内陸が場所によっては厳しいところもあるが、路線については今色々と検討している。まだ皆様にお伝えできるものはないが、中国についても一つの就航地として検討していきたい。

--福岡就航は?

 私どもの機材数や発着枠の確保等を踏まえて、以前飛んでいた空港もメリットがあれば積極的に展開していきたい。

--黒字の目安は?

 3年目である2018年度に単年度黒字達成を目指して進めている。トニー・フェルナンデスは「壊れたレコードのように俺は言い続けるが、とにかくコストカットだ」と言う。LCCがフルサービスのようなサービスをすると、どうしてもコストがかかってしまう。なので、そこの線引きをしっかりとしていくことが黒字化への道と考えている。

--A320neo導入にかかるコストについては?

エアアジア・ジャパン,A320

シャークレットを搭載したエアアジア・ジャパンのA320 © Toshio Tajiri/Flight Liner=15年10月

 初号機は従来型エンジンのA320ceo。今後導入するA320neoは2016年度にエアアジアグループに納入される。エアアジア・ジャパンにA320neoがいつ入るのか具体的に確定していないが、エンジンタイプが少し違うので、そこの部分のコストが従来のエンジンと新エンジン、どう違うのかしっかりと精査していく。

 (A320neo導入で)整備費等々が上がるコスト増と、エンジンが新しくなって効率がよくなりコストが下がる部分を相殺する。その中でしっかり判断していきたい。

--具体的な今後の路線数・便数は?

 中期事業計画にそって具体的な路線・便数を設定している。ただ、航空業界は外部環境に左右されやすいため、直近の部分は見直しをして進めていくと思う。現時点で具体的な路線はお話できないが、各路線計画している。

--2020年に1日120~150便の便数と一部報道で言われているが、どうなのか?

エアアジア・ジャパン

主翼下部にはエアアジアのロゴがあしらわれている © Toshio Tajiri/Flight Liner=15年10月

 1機で1日6便程度飛ぶ予定をしている。状況がよければ1日8便。(20機体制の機材計画も含めて)そこから1日120便程度と計算したのではないかと思う。単純に申し上げると、1日6便飛ばして20機体制であれば1日の便数は120便になる計算。

--今後、国内線・国際線の割合は?

 今の計画の中で、国内線・国際線はほぼ一緒。若干国際線の方が多いかなと思う。これは5年(中期事業計画)の中で環境変化もあるので、一部柔軟に考えているが、現在の環境が続くならば半分強が国際線と考えている。

--予約システムについて

 前回指摘を受けた使いづらい予約システムの課題について、すでに継続して解決するよう進めているので、そういったところもお客様にしっかりとアピールしていきたい。

--前回のエアアジア・ジャパンとの違いは?

 今回はアジアの文化をしっかりともって、中部に定着させたいと考えている。安全については、我が国の航空法に定める基準にそって進めている。他の国内航空会社と比較してもまったく遜色ない安全性をお約束する。

--なぜ中部拠点なのか?

エアアジア・ジャパン,A320

機体には「Now Everyone Can Fly(さあ、みんな飛べるよ)」のキャッチコピーも描いている © Toshio Tajiri/Flight Liner=15年10月

 まずは、中部圏が日本の第三の都市で、航空拡大の余地があると捉えている。ここ中部空港はリーマンショックや日本航空(JAL)破綻後、利用者が一時伸びていなかったが、私どもがしっかり路線をはっていって中部のお客様に使っていただけるよう展開していきたい。

 現在、中部周辺のお客様は一部東京方面や関西方面に出ていく人もいるが、私どもがしっかり路線展開していけば、そのようなお客様にも中部線を振り向いていただけると思っている。

--名古屋といえばMRJ。MRJ導入の可能性は?

 日本に数十年ぶりに国産の飛行機、日本の翼が飛ぶという事は非常に喜ばしいこと。地元の産業の観点から、ここ中部エリアは日本の中でも一番と言っていいほどの航空産業の立地。

 一方、ビジネスとしては、私どもLCCの一つの特徴としては1機種に限定するというところがある。なぜかというと、コストを下げる必要があるので、整備やパイロットの訓練コスト等々諸々を含めて1機種に集中していく。そう考えると、現段階では具体的な(MRJ発注の)検討はしていない。

--目標の搭乗率は?

 ロードファクターは年間で平均85%以上を目指している。

--セントレアの第二滑走路展開についての考えをひと言

 私個人的には中部空港に第二滑走路は必要と考えている。そのためには当然需要が必要なので、私どもが便数をどんどん増やしていって路線を展開していく。その結果として、(中部空港には)第二滑走路を検討していただきたい。