サルでもわかる、「全国旅行支援」の利用方法と注意点【永山久徳の宿泊業界インサイダー】

割引額が良くわからない

岡山 全国旅行支援

報道されているとおり、交通+宿泊は1泊8,000円、宿泊のみは1泊5,000円、日帰りは5,000円となるが、都道府県ごとにローカルルールが数多くあるので注意が必要だ。現時点でも15都県で割引率の引き上げ(奈良県)、交通費の助成(高知県)、子どもへのクーポン上乗せ(岡山県)などを表明しているが、それぞれに適用条件が細かく設定されているので、すんなり理解できる人は少ないだろう。それでも、上乗せが無いとしても、例えば交通+宿泊で平日に3泊4日の旅行を3人で計画した場合、ほぼ10万円もの補助を手に入れることができるのだから利用しない手はない。

また、休日1,000円、平日3,000円のクーポンの計算にも注意が必要だ。ここで言う休日とはほぼ土曜日泊のことを指しており、祝日なども平日扱いになる。クーポン利用店舗も「Go To トラベルキャンペーン」の時と一致している訳ではないので要確認だ。最終日に家族で数万円分のクーポンを持て余すことにもなりかねない。

お勧めするのは、下手に割引額を計算するよりも、素直に宿泊予定の施設に問い合わせることだ。「迷惑をかけるのでは」と思われるかもしれないが、電話対応に時間がかかるのは、例えば今回の「全国旅行支援」の詳細が都道府県から発表されていないのにもかかわらず、宿泊施設に詳細を教えろと再三電話をかけてきたり、まだ行程を決めていない人が、様々なケースを順々に質問してきたりするためなので、行程や人数が固まった上で料金計算や詳細の条件を聞かれることについては歓迎できるお客様だ。むしろチェックイン時に話が違うと言われ、再計算する手間を考えれば効率が良いくらいだろう。

もちろん、これだけ複雑な制度なので、子どもの扱い、連泊の計算、端数の処理など、多くの変動要素がある。所在する都道府県のことだけ専業で扱っている宿泊施設の行う計算が最も信憑性がある。

ワクチン接種、陰性証明はどうすればいい?

ワクチン3回接種、陰性証明についても、基本ルールは定められており、接種証明がない場合はPCR検査、抗原定量検査または抗原定性検査の結果通知書が有効期間内であることが求められる。今回の全国旅行支援では厳格な運用が求められており、不正に対しても相当にシビアであるため、いくらフロントでの確認作業のみとはいえ、忘れた人に便宜を図ることはできず、ゴネられたとしても宿泊施設はどうすることもできない。この場合、もちろん全国旅行支援の対象外になってしまうので身分証明書と接種記録もしくは結果通知書は必ず準備しておく必要がある。

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