JAL、北回りで欧州路線継続 運航実績を勘案、ロンドンでの乗り継ぎ重視

日本航空(JAL)は、ロシア・ウクライナ情勢を鑑み、欧州路線は当面の間、北回りの迂回ルートを飛行することを明らかにした。

日本の航空会社は現在、ロシア当局による飛行禁止措置の対象となっていないものの、ロシアへの経済制裁により、機材故障でダイバート(目的地外の着陸)が発生した場合、代わりの部品を調達することに懸念があり、代替部品を調達できなかった場合には、最終目的地まで乗客を運べない懸念があるとしている。また、欧州航空安全機関(EASA)はモスクワ上空の飛行に関して注意喚起している。

東京/羽田〜ロンドン/ヒースロー線は、1日1便〜2便をアラスカやグリーンランド、アイスランド上空を通過する北回りの迂回ルートで運航する。これにより、往路は約2時間〜3時間、復路は約4時間程度、飛行時間が長くなる。パイロットは通常3名が乗務するところ、4名体制とする。

東京/羽田〜パリ・ヘルシンキ・モスクワ線と東京/成田〜フランクフルト線は、当面欠航となる可能性がある。基本的に、1週間程度のまとまった期間で運航方針を決定し、発表する。予約客は可能な限り、東京/羽田〜ロンドン線に振り替え、共同事業を展開するブリティッシュ・エアウェイズ便で目的地までのアクセスを提供する。

北回りを選定するにあたり、運航要件や各国の承認取得状況を勘案した。過去には北回りで欧州路線を運航していた実績があり、安全に飛行できると判断した。北回りの運航は、旅客便は1990年代までになくなったものの、ボーイング747型機の貨物便は2000年代後半まで、アンカレッジ経由で運航していたという。

飛行時間が長くなることによる燃油費増加の一方、ロシアの上空通過料がなくなるという。運航費用は増加する。収支面ではなく、最速で準備ができ、確実に運航できることから、北回りを選択した。南回りと北回りは距離的には100マイル程度の差であるものの、風の状況によって所要時間が変わることから、距離が長いことが所要時間の増加につながるわけではないという。欧州発は追い風である南回りのほうがメリットが大きく、今後検討する。