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停電時も新幹線が自力で動く! JR東海N700Sのバッテリー自走試験レポート
JR東海は、東海道新幹線のN700S確認試験車でのバッテリー自走試験をメディアに公開した。
N700Sは従来型車両に比べて床下機器が小型軽量化されたことにより、自走用のリチウムイオンバッテリーの搭載が可能となった。バッテリーは通常走行時に架線からの電力で充電。自然災害などによる停電時、新幹線がトンネル内や橋梁上などに停車してしまった場合にバッテリーの電力で自走し、安全な場所まで移動できる。これは高速鉄道では世界初のシステムで、異常時における対応能力強化が期待される。また、バッテリーの搭載により、これまで停電時に使用できなかったトイレが一部号車において使用できるようになった。
バッテリーでの自走試験は2018年9月に浜松工場内で初めて行っている。営業運転時は16両編成中2・4・7・8・9・10・13・15号車の8両にバッテリーを搭載する計画だが、初回の試験では2両にのみ搭載。時速約5キロで約300メートルの区間を複数回走行した。
きょう10日に三島車両所で公開された試験では、4・8・9・13号車の4両にバッテリーを搭載。実使用時を想定した時速約30キロで、約3.2キロの区間を自走した。
バッテリーでの自走に際してパンタグラフが降下すると、車内は消灯。予備灯だけがともった。その後N700Sは静かに動き出し、ゆっくりと加速。筆者が実測したところ、約1分53秒で時速30キロに達した。なお、バッテリーでの自走中は空調が停止している。この時の三島市の気温は25度前後と比較的過ごしやすかったが、車内の気温は徐々に上がっていくのが体感でわかった。真夏や真冬の室温がどうなるかは気になる点だが、災害時も安全に避難できるようになるのは利用者にとっては安心材料と言える。
N700Sは今後も長期耐久試験などを経て、2020年7月に量産車が営業運転を開始する予定。
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