「カンガルールート」の名が無くなる? 豪州〜欧州間直行便、ついに就航【さかいもとみの旅力養成講座】

直行便の所要時間はなんと17時間超

今回就航した、パース〜ロンドン間の無着陸直行便は飛行距離15,000キロあまり、所要時間は17時間を超えます。

「そんなに長く飛ぶんだったら、映画がいっぱい観られていいなあ!」と思う人がいるかもしれません。計算上は17時間あれば、ハリーポッターの全7作品も一気に観られます。

しかし、ロンドン行きは離陸から着陸まで一度も機外にお日様の光を見ることができず、ただただ真っ暗な中(しかもほとんどが海の上)をひたすら飛び続けます。そして「いつ寝ていつ起きて良いのか」と悩んだ末に、なんと早朝5時過ぎにロンドン到着と、その後の日程を考えるとちょっと気重となります。

カンタス航空もそういった悩みを考えたのか、パース空港にはロンドン線利用者のうち、ビジネスクラス利用者や上級会員が利用できる乗り継ぎ専用のラウンジをオープンしており、パースから出発する人のみならず、ロンドンから到着する人も利用できます。パース〜ロンドン線に投入するボーイング787-9型機は236人乗りで、仮に往復ともに満席だとしても472人しか乗客はいないことになる。一方でラウンジの席数は141席であることから、そういった高頻度利用者は最大でも約3割と見込んでいると推察できる。

ちなみにラウンジでは、季節のメニューや様々なビュッフェ、バリスタによるコーヒーサービスなどを提供するほか、オープンテラスでは地元の精肉店の上質なソーセージ、マッシュルーム、軸付きとうもろこしなどのバーベキューを楽しむこともできます。さらにチャールズ・パーキンス・センターとシドニー大学は共同で、エアライン初となる体内時計を調整するための明るい照明を活用した時差ぼけ対策を開発し、トイレやリフレッシュゾーンに取り入れたといいます。呼吸やストレッチの無料のレッスンも行っています。

「念願の直行便」とはいえ、長すぎるのもどうかと思いませんか?

「15時間以上ゆっくり休める」と考えると、日々忙しい人にとってはこんな幸せなことはありませんが、どちらかといえば「体力の限界に挑戦」という気がしなくもありません。日本〜欧州間には、ちょうど良いタイミングで中休みできるフィンランドのヘルシンキ経由なんていうチョイスがありますし、ダークホース的存在としてはLOTポーランド航空でポーランドのワルシャワ経由といったルートも使えます。体力と時間、行き先、あるいは乗り継ぎの利便性(そして、何よりも価格?)など総合的に検討して、より便利でコストパフォーマンスの良いフライトを探してみたいものですね!

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