JR東海、特急「しなの」新型車両・385系公開 両先頭にパノラマ展望車

JR東海は5月12日、特急「しなの」用の新型車両・385系の量産先行車を神領車両区で公開した。

量産先行車は8両編成で、長野方の1号車がグリーン車、2〜7号車が普通車。現行の383系は1号車のグリーン車が前面展望を楽しめるパノラマ仕様となっているが、385系では両先頭車ともパノラマ仕様となったのが大きな特徴。

全体のデザインコンセプトは「信濃・木曽・美濃地区の豊かな自然と文化の調和」。エクステリアは「アルプスを翔ける爽風」をテーマに、アルプスの山並みを駆け抜ける風をイメージした。

シンボルマークは緑のグラデーションで信濃・木曽・美濃地区の森林を、緑を基調とした大きなカーブと3本のラインで沿線の針葉樹を、オレンジのカーブで国内最速で曲線を走行するスピード感を表現。1・3・6・8号車に各2か所、計8か所にあしらっている。

インテリアはグリーン車・普通車とも、縦のラインや木目調の内装材を多用し、木曽地方を代表する5樹種「木曽五木」のイメージを演出した。

グリーン車のテーマは「優雅なプライベート感」。重厚感のある落ち着いた色彩を基調に、コイト電工製の電動レッグレスト付きバックシェル式シートを「1-2」配列で配置。バックシェル式のシートはJR東海では初採用となる。モケットは北アルプスの朝焼けや、長野県の花・リンドウをイメージした色で仕上げ、壁には岐阜県の伝統工芸品・美濃焼の装飾をあしらった。

普通車のテーマは「自然の心地よさ」。爽やかで明るい色彩の室内にリクライニングシートを「2-2」配列で設け、グリーン系のモケットで木曽の森林を表現している。

グリーン車、普通車とも全座席にコンセントを設置し、荷棚はスペースを拡大した。

安全・サービス設備としては、特急「ひだ」「南紀」で運用しているハイブリッド特急車両HC85系と同様に、車両機器の稼働・故障状況を遠隔で常時監視する状態監視システム(DIANA)や車内防犯カメラを導入した。

性能面では、次世代振り子制御技術を採用したのが最大の特長。現行の383系では、地上子を通過した際にカーブ開始位置までの距離を取得し、その後は車輪の回転数などから走行距離を算出してカーブのタイミングを検知する仕組みを採用しているが、雨などで車輪が滑走すると振り子傾斜が遅れるという課題があった。

一方、385系では車両に搭載したジャイロセンサーで車両とカーブの位置関係を常時監視し、カーブ開始位置をより正確に検知。常にカーブ開始と同時に振り子傾斜を始めることができる。383系を使った走行試験では、現行の装置と比べてカーブ通過時の乗り心地が約15%改善されているという。

5月13日から名古屋〜中津川駅間で夜間走行試験を開始し、次世代振り子制御技術などの確認を行う。営業運転開始は2029年度頃を予定しており、現行の383系を順次置き換える。量産車の製造本数、編成両数、導入完了時期などについては、「今後の需要動向などを踏まえ、総合的に判断する」(JR東海担当者)としている。