「リーガグラン千歳」、2029年3月に開業へ 北海道初進出
計画地の建物「キャピタル・プレイス(Capital Place)」は煉瓦造の元オフィスビルで、2014年に東横インが取得。2020年からテナントが入っていない状態が続いていた。現在はフェンスによって立ち入りができなくなっているものの、オフィスの借り手を求める募集看板は、ところどころが木々に覆われた状態で半ば放置されている。
資料によると、全体的な建物の状態は劣悪(poor condition)で、大幅な刷新が必要だという。オフィスとしての質も、現代からみて基準以下と評価されている。
計画では客室数206室、客室面積は12〜18平方メートル、バス・トイレを完備する。1階には受付、ラウンジ、バー、朝食エリア、朝食調理室、ミーティングルーム、ジム、スタッフ施設、小規模な小売店が入る。1階から3階に客室を配置。屋上は設備関連スペースとし、200台程度の駐車場も用意する予定だという。
ヒースロー空港は、500億ポンド規模の拡張計画を進めている。現在ある2本の滑走路の北側に位置するバスロードのさらに北に第3滑走路を建設する計画で、政府も後押ししている。ターミナル5の西側とターミナル3を取り壊すものの、滑走路間に新ターミナルを建設する。
コリアーズが実施した「ホテル需要評価調査」(2025年12月)によれば、対象エリアの競合ホテルグループでは、2024年に平均客室稼働率86.0%を記録。高い稼働率は明らかに需要過剰状態にあることを示している。ヒースロー空港の年間乗客数は8,390万人で、2019年比3.7%増加しているほか、第3滑走路の建設などによって、年間利用者数は最大1億3,000万人に拡大するなど、今後の需要増加も見込まれている。
この地域にあたるヒリンドン地区には53軒のホテルがあり、約1.1万室の客室が存在するものの、半数以上がアップスケール、アッパーアップスケールカテゴリに位置する。東横インと同様のエコノミーカテゴリは「プレミアイン」や「トラベロッジ」に限られ、選択肢に乏しい。2024年の同カテゴリの客室単価は61.03ポンド(約13,200円)で、東横インも同等の価格帯が想定できるのではないだろうか。
イギリス最大の空港であるヒースロー空港では、常に一定程度の欠航や遅延便が発生する。24時間空港ではないこともあり、筆者の定宿にも突然大量の宿泊客が流れてくる。本来は朝食しか提供していないにもかかわらず、行き場を失った人のためにバラエティに乏しい夕食を提供しているホテルもある。東横インの計画によると、朝食エリアは用意されるものの、それ以外については示されていない。計画地の両隣はホテル、近隣はボーリング場で、徒歩圏内には食事を摂れるレストランは少なく、隣のマリオットホテルに行くか、Uber Eatsなどのデリバリーサービスなどに頼ることになる。
建物と道路の間はレンガで仕切られ、長年放置されているとしか考えられないほど、草木が生い茂っていた。テナントがいないオフィスビルということもあり、放置しているのだと思いきや、実は別の理由があった。
近くの柱にくくりつけられた、A4用紙2枚によると、東横イン計画地の南と東側の実に奇妙な細長い区画が、所有者不明の土地とされている。張り出したのは空港会社と空港会社から受託を受けた専門会社で、将来的な空港拡張計画の手続きに伴うものと主張している。
計画地の敷地内には、発電機やゴミ箱、パレットなどの資材が置かれており、何らかの作業が行われているようにも思えるが、人影はみられなかった。
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東横インの開業は、ヒースロー周辺におけるエコノミーカテゴリーの空白を埋めるとともに、増大する空港利用者の宿泊需要に応える取り組みとなるだろう。より多様でコスト意識の高いレジャー客の取り込みを図るなど、様々なニーズに対応できるようになる。
日本発の東横インブランドが、ロンドンの空港ホテル市場にどのような影響を与えるか、注目したい。