JALベルスター、30年で初の男性メンバー クリスマスに向けて練習中

日本航空(JAL)の客室乗務員有志で結成されるミュージックベルの演奏チーム「JALベルスター」が、クリスマスシーズンに全国各地で行う演奏会に向けて、練習を続けている。

JALベルスターの活動は1995年に始まり、今年で30周年を迎える。毎年、CA有志8名でチームを結成し、クリスマスシーズンに全国各地の空港などで演奏を披露している。基本的にメンバーは毎年入れ替わるが、1〜2名は翌年も引き続き参加し、リーダーやサブリーダーとして新メンバーにノウハウを伝える役割を担う。

今年は山本美櫻さんほか1名が2024年に続いて参加。山本さんはリーダーとして今年のチームをまとめる。「フライトではない場所で多くのお客様の笑顔を拝見して、応援を肌で感じることがことができ、一緒に楽しい時間を過ごせたことが本当に楽しかった」と前回に引き続いて参加を決めた山本さん。30周年の節目にリーダーを務めることに責任感やプレッシャーを感じているというが、「JALの代表としてお客様に感謝を伝えられる機会。頑張りたい」と意気込みを語った。

▲2024年に引き続き参加し、今年はリーダーを務める山本美櫻さん(中央)

今回初めて参加する6名のメンバーは社内公募で選ばれた。音楽経験が豊富で、ピアノやエレクトーンのほか、アイルランド伝統音楽の経験があるメンバーも集まった。公募では今年初めての試みとして、自己紹介と志望動機を収めた1分間の動画選考が実施された。

今年は30年の活動の中で初めての男性メンバーとして、入社2年目の中尾純也さんが参加。JALベルスターを知る家族からの勧めもあって応募したという。ピアノ歴10年間という中尾さんだが、ミュージックベルの演奏は初めて。ピアノと違い、1音ずつ全員で演奏することに最初は少し苦戦したというが、「普段、飛行機をご利用にならないお客様とも触れ合える楽しみな機会。自分自身も楽しんで、お客様にも楽しんでいただけるような演奏を届けられたら」と披露の日を楽しみにしている。

▲30年で初の男性メンバーとして参加する中尾純也さん(左)と、リーダーの山本さん

今年の活動は10月1日から始まり、6回目の練習会となった11月5日は、『We Wish You a Merry Christmas』『ひいらぎかざろう』『サンタが街にやってくる』の3曲を全員で演奏した。「今年のメンバーはリズム感が抜群」とメンバーのセンスに驚く山本さん。最初の音合わせの時点で一定のレベルに達していたといい、アイコンタクトをとって和音をきれいに合わせたり、鈴を使って演奏をより華やかにしたりと工夫を凝らしている。練習しているのは全12曲。クリスマスソングのほか『アンパンマンのマーチ』など、子どもを含め全世代から親しまれている曲を中心に選んだ。

演奏会は11月29日の徳島の大塚国際美術館を皮切りに、クリスマス当日の12月25日までに東京や大阪、札幌、函館、秋田など全国各地で計8日間行う。このほか11月30日には、羽田空港の訓練施設のモックアップで、ビジネスクラスで提供する機内食を食べながら演奏を楽しめるイベントを開催する。

メンバー全員で決めた今年の演奏テーマは「Ring in the Smile!!!〜30周年の感謝を込めて〜」。“Ring”には「鳴り響く」という意味の他に、「呼び込む」、「新年を迎える」という意味があるといい、「心を合わせて奏でる音色でスマイルを呼び込み、笑顔の和を広げたいという思いを込めた」と山本さん。クリスマスと新年が笑顔であふれるように、30年の感謝を込めて練習に励む。