JAL、羽田〜ニューヨーク線でCO2排出量実質ゼロ 獣脂由来の燃料など活用

日本航空(JAL)は9月14日、運航中の二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにしたフライト「サステナブル・チャレンジフライト」を東京/羽田〜ニューヨーク/ジョン・F・ケネディ線で実施した。9月18日・19日にニューヨークで開かれる国連SDGサミットに合わせたもので、9月20日まで実施する。

JALはカーボンニュートラル達成に向けた取り組みとして、CO2排出量実質ゼロを実現した「サステナブルチャーターフライト」を2022年11月に東京/羽田〜沖縄/那覇線で実施しており、今回は第2弾となる。

期間中、東京/羽田〜ニューヨーク/ジョン・F・ケネディ線のJL6便を対象に、全燃料搭載量の約11%を獣脂から作った持続可能な航空燃料(SAF)に置き換えるほか、カーボンクレジットと呼ばれるCO2排出量を企業間で売買する仕組みを活用することで、カーボンニュートラルを実現した。

軽量化による燃費向上のため、機内誌や機内販売カタログはシートポケットに用意せず、機内イントラネットを使用した電子版のみを提供する。また、上級クラスで提供するスリッパや歯ブラシは、プラスチック素材からジュート(麻)や竹などの天然素材に変更したものを使用。カトラリー、スリッパ、ヘッドホン、リラクシングウェアの包材も再生プラスチックに変更している。

このほか、DEI推進の観点から、エコノミークラスで提供する機内食の包装に、知的障碍のあるアーティストが描いたアートを採用した。

初日となった14日に羽田空港で開かれた出発式でJALの赤坂祐二社長は、「2030年(が期限)のSDGs、2050年(までが達成目標)のカーボンニュートラルと、航空業界の大きなチャレンジが続く。我々も着々と準備を進めたい」と挨拶した。

JALグループでは、2030年までに全燃料搭載量の10%をSAFに置き換え、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目指している。JALのサステナビリティアドバイザーとして登壇した慶應義塾大学大学院の蟹江憲史教授は、「今回の取り組みは実験的な段階。実施することで、何が必要なのか、何が足りないのか、どこを変えていけばいいのかがわかってくる」としたうえで、「取り組みが広がるように政策や利用者の後押しが必要」と指摘した。

JL6便(ボーイング777-300ER型機、機体記号:JA731J)は羽田空港を午前11時6分に出発。赤坂社長のほか、グランドハンドリングスタッフを中心に約70名のグループ社員が横断幕で見送った。利用客は198人だった。