7分で200セット完売 名古屋名物ぴよりん初の「東京おでかけ」舞台裏に迫る

丸っこいふわふわのボディにチョコレートのつぶらな瞳。可哀想、と思いつつ顔にスプーンを入れると、中から名古屋コーチンの濃厚なプリンが現れる。

今や全国区の知名度となった名古屋生まれのひよこ型スイーツ、「ぴよりん」。普段はJR名古屋駅構内の売店でしか販売されていないが、時々イベントや催事で県外にも“おでかけ”している。昨年9月には新横浜駅で関東初進出を果たし、今年3月には大阪・阪神梅田本店に登場。そして今回、新宿・京王百貨店の催事で待望の東京初進出を果たすということで、その舞台裏に迫った。

5月12日朝、京王百貨店の催事場では開店を前に、2人のパティシエがせっせとぴよりんの“顔”を整えていた。実は今回の催事では、完成品のぴよりんが名古屋からやってきたわけではない。

無傷で自宅へ持ち帰る「ぴよりんチャレンジ」がSNS上で繰り広げられていることからもわかるように、ババロアとプリンがベースのぴよりんは振動に弱く非常にデリケート。名古屋から東京まで直接運ぶのは型崩れのリスクが伴う。そこで、ベースの胴体や羽根、目、口などパーツごとに分けて運び、会場で最終的な仕上げを行う製造実演の形をとることにしたのだ。

この秘策は、3月の阪神梅田本店での催事で初めて採用された。ぴよりんの製造販売を手掛けるジェイアール東海フードサービスの担当者は、「お客様の前に立つことで、パティシエ側のマインドにも良い影響があった」と強い手応えを感じたという。これまでの外販では完成品を名古屋から運んでいたが、「意識的に(実演販売の)機会を作るべき」と今回も採用した。

京王百貨店で販売された「ぴよりん新宿おでかけセット」は、通常のぴよりんが2個セットになった商品。11日・12日の2日間限定で、各日200セットを用意した。担当者は「普段の外販では150セットくらい。今回は東京ということでニーズが高いと予想して200セットにした」と話す。東京で心待ちにしていた人からすればもっと用意してほしいと思うところだが、パティシエの作業時間などの兼ね合いから200セットが限度だったという。

午前10時に会場がオープンすると、先着200枚の販売整理券はあっという間になくなった。その記録は7分。ちなみに、初日の11日も10分程度で配布終了したという。

大好評のうちに幕を閉じたぴよりんの“はじめての東京おでかけ”。気になるのは今後のおでかけ予定だが、前出の担当者によれば「複数のお話を頂いている」。催事以外にも企業や自治体とのコラボがあるため「年内のスケジュールは埋まりつつある」が、年に3〜4回程度は“おでかけ”させたいという。

公式サイトのQ&Aによれば、ぴよりんの夢は「名古屋を飛び出して世界に羽ばたくこと」。いつかは海外におでかけするぴよりんの姿を見る日も来るかもしれない。

▲京王百貨店の催事に登場したぴよりんの製造実演ブース

▲粉末状のスポンジ生地を胴体まぶす

▲ぴよりんにトサカをつけるパティシエ