JALが機内食で「うなぎ」提供、そのお味は? 知る人ぞ知る”裏メニュー”食べてみた【レポート】

日本航空(JAL)は、10月から、国際線の一部で密かに「うなぎ御膳」を提供していることをご存じだろうか。今回、筆者が(自腹で)食べる機会があったので、果たしてどんなものだったのか、レポートをお届けする。

知る人ぞ知る機内食「うなぎ御膳」とは?

日本航空(JAL)は、国際線ビジネスクラスで機内食事前予約専用の「EXPRESS MEAL(エクスプレスミール)」サービスを開始した。JALによれば「手早く美味しくお召し上がりいただき、食後の時間を自由にデザインいただける」サービスとしている。

このエクスプレスミールの第1弾として、東京・東麻布の老舗「五代目 野田岩」の国産養殖うなぎの蒲焼をメインにした「うなぎ御膳」を提供する。

従来の和食、洋食に加えるかたちで提供するが、このエクスプレスミールを出発25時間前までの事前予約限定で提供する。事前予約しないと食べられない、というのが、この「知る人ぞ知る機内食」のカラクリというわけだ。

実際に「うなぎ御膳」を予約して食べてみる

たまたま、筆者は別件でJALのビジネスクラスでアメリカに向かう機会があったので、この「うなぎ御膳」を予約した。予約方法は簡単で、JALのウェブサイトで座席指定とともに機内食のリクエストを行うことができる。

搭乗後、場合によっては用紙を渡されて和食や洋食のリクエストを聞かれることがあるが、筆者は事前予約をしているので、そのやり取りはなく、代わりに「エクスプレスミールをご用意しております」と確認された。いつも和食か洋食かで少し逡巡するので、迷わないで済むのは新鮮だ。

今回筆者は東京/成田発シアトル行の68便で渡航。この日は定刻より少々遅れ、かつ気流の影響でやや機内食の提供開始が遅れた。

通常通り提供されるドリンクとアミューズが、出発後約90分後(離陸後約75分後)で提供された。このあとうなぎであることはわかっているが、ロゼ(ベスラ・ド・ベルフォン)をチョイス。

メインのうなぎはそれから約20分後に提供。離陸からは約1時間半、ベルトサイン消灯後からは約1時間ほど経っている。もちろん全く急いでいるわけではないので、このくらいのタイミングで十分だと思ったものの、「エクスプレス」感はないなあ…とは思ってしまった。

気を取り直して、早速「うなぎ」を食べてみよう。

機内食「うなぎ」、お味は?

15センチ弱の大ぶりなうなぎが2切れ。目を引くのは、うなぎの分厚さだ。ふっくらと蒸しあげられたことが一目瞭然だ。

うなぎ御膳は、山椒とたれが別添えだ。好みでたれと山椒をかけられるものの、一口目は、何もつけずにうなぎを一口。

見た目通り、ふんわりとしたうなぎの食感とともに、淡泊ながらも秘めるうまみが口いっぱいに広がる。噛みしめるごとにうなぎの味を楽しむことができる。

もちろんたれと山椒もしっかりうなぎにマッチしていて、彼らが引き立てるうなぎとごはんの奇跡的なハーモニーは、日本出国直後なのに、日本への憧憬を掻き立てられてしまう。なんと憎いことか。

エクスプレスミールということで、ワンプレートで提供されるものがすべてとなるが、特別感あふれるうなぎの美味しさで、大満足な機内食であった。

まだまだ浸透はこれから?

この便のビジネスクラスはほぼ満席状態だったが、少しだけ調理担当の客室乗務員さんにお話を伺えた。この「うなぎ御膳」の提供は初めてで、「緊張してマニュアルを見ながら盛りつけた」とのことであった。

アメリカ線は、東京で乗り継いだアジアとの往来が多く、今回のビジネスクラスの乗客も半分以上が外国人。多くが乗り継ぎ客とみられ、なかなか日本の食文化を理解してうなぎを積極的にチョイスするツウな乗客も少ないかもしれない。

この「エクスプレスミール」、10月から提供を開始したもので、まだまだ始まったばかり。渡航制限緩和とともに、徐々にうなぎを選ぶ乗客も増えるだろうか。

機会があれば、ぜひ「うなぎ御膳」を食してみてはいかがだろうか。少なくとも一見…ならぬ“一食”の価値はあると筆者は感じた。