コロナ禍に立ち向かう航空関係者にエール 齊藤工さんが羽田のJAL格納庫でライブイベント

コロナ禍で奮闘する航空・空港関係者を応援しようと、俳優/映画監督の齊藤工さんらがライブパフォーマンスや自作の映画上映を行うイベント「cinéma bird(シネマバード)」が9月18日、羽田空港の日本航空(JAL)格納庫で開かれた。JALグループや全日本空輸(ANA)グループ社員をはじめとする航空会社や空港スタッフ、出入国・税関・検疫関係者やその家族など計約1,000名が招待され、約3時間の非日常的な時間を楽しんだ。

シネマバードは、齊藤工さんが映画や音楽を通して子どもたちに笑顔を届けたいと2014年に立ち上げたプロジェクト。齊藤さんやその友人である俳優やミュージシャン、お笑い芸人も参加し、天災で劇場が営業できなくなってしまった地域などで活動を行ってきた。コロナ禍が始まった2020年からは、インフラ従事者に対して「心のインフラであるエンターテイメントを届けられないか」(齊藤さん)という方向性に変化していったという。

昨年11月に医療従事者に向けて開催したイベントに続く今回は、コロナ禍の中で旅客輸送やワクチン輸送を支えている航空・空港関係者に感謝と応援の気持ちを届けたいと、約1年前から企画。齊藤さんや、齊藤さんの親友というお笑い芸人の永野さん、シンガーソングライターの大橋トリオさんらが出演し、生演奏やお笑いライブを披露した。イベントの終わりに齊藤さんは、「まだ日常が戻ってきたとは言えない状況だが、皆さんの支えで海外や地方のライブ、営業が支えられている」と来場者に感謝を伝え、「今もまさに勤務されている仲間がたくさんいらっしゃると思うが、感謝の気持を受け取っていただけたら」と呼びかけた。

会場となったJALのK2格納庫前には、同社のエアバスA350-900型機(機体記号:JA02XJ)が駐機。夕暮れの空港風景とライブ会場が融合する異色のエンターテイメント空間が実現した。格納庫を会場として使用したいという打診は、イベントの実施に携わった日本空港ビルデングと羽田未来総合研究所を通して昨年8月頃にJALに持ちかけられた。同社によると、通常は航空機のメンテナンスを行っているK2格納庫は長くても半日程度しか空けられず、大きなイベントはこれまで行ったことがなかった。加えて、コンサート会場として使用するためには防火・避難計画に関して消防署への申請が必要となるため、整備・塗装器具の整理など、「許可を取るまでにはいくつものハードルを越える必要があった」(JAL担当者)という。

整備スケジュールの調整や格納庫内の什器・備品の一時撤去などを進め、当日は午前7時から設営を開始。午後9時のイベント終了後、翌19日の午前0時頃までステージの撤去など原状回復作業を行い、同日朝からは通常通りの稼働を再開した。

▲ユニット「cinema bird」のギタリストとして生演奏を披露する齊藤さん(左)

▲お笑いライブを披露する永野さん(ステージ中央)

▲来場者と記念撮影するシネマバードの出演者

▲会場となったJALのK2格納庫