ANA訓練施設と建設中の新横浜駅へ 公共交通の裏側探るツアー、鉄道界に出向のCAが企画

全日本空輸(ANA)と鉄道・運輸機構(JRTT)は8月20日、ANAの総合訓練施設「ANA Blue Base(ABB)」と、2023年3月に開業する相鉄・東急直通線の新横浜駅の建設現場を一度に見学できるツアーを実施した。JRTTに出向中のANAの客室乗務員が発案したもので、10代から70代までの18名が参加した。

ABBはかつて羽田空港周辺に分散していた訓練、教育、研修機能を集約した施設で、2019年4月に運用を開始した。運航乗務員や客室乗務員など各職種の最新鋭の訓練機器を導入しており、2021年12月からは、案内役の客室乗務員の説明聞きながら施設内を見学できるツアーを行っている

相鉄・東急直通線は相鉄・JR線の羽沢横浜国大駅から東急線の日吉駅までの10キロをつなぐ新たな路線で、JRTTが建設を担当。開業後は東急線と直通運転を行っている東京メトロ南北線・副都心線、都営三田線、埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線、東武東上線も相鉄線に乗り入れるようになり、7社局14路線を結ぶ首都圏の新たな広域ネットワークが形成される。新横浜駅は羽沢横浜国大駅から約4.2キロ、日吉駅から約5.8キロの地点に新設される地下駅で、相鉄線と東急線の境界となる。

ツアーは午前中にABB、午後に新横浜駅を見学する行程で、バスでの移動と、羽田エクセルホテル東急でのライスバーガーの昼食、お土産が付いて1人15,000円。先着での予約受付開始後、即日満席になったという。

ABBでは、案内役の客室乗務員の解説を聞きながら施設をまわり、グランドスタッフ、客室乗務員、貨物スタッフ、グランドハンドリングスタッフ、整備士、運航乗務員が実際に使用する訓練施設を見学した。この日はちょうど、客室乗務員がモックアップで脱出訓練を行っており、ツアーの参加者はその様子を興味深そうに眺めていた。案内を担当した客室乗務員によると、普段行っている見学ツアーと違い、今回は航空業界に馴染みがない参加者も多く、飛行機に乗ったことがないという人もいたという。

午後はJRTT職員の案内で、工事が進む新横浜駅の建設現場へ。実際に電車が走行する線路に降り立って撮影したり、変電設備や排煙設備などの駅の裏側の設備を見学したりした。

▲JRTTに出向中のANA客室乗務員 横畑汐音さん

ツアーを企画したのはANAからJRTTの経営企画部広報戦略課に出向している横畑汐音さん。コロナ禍で客室乗務員としてのフライトが減少する中、横畑さんは異業種でキャリアアップをしたいと出向募集に応募。2021年10月から、SNS発信などの対外広報や広報誌制作などを担当している。今回のツアーは、航空業界と鉄道業界の両方に携わった経験を活かし、鉄道ファンと航空ファン双方にそれぞれの現場について知ってほしいと企画した。横畑さんは、「駅の建設現場と客室乗務員の訓練を見ることで、交通インフラの安全を支える裏側を体感してもらえれば」と話した。

▲ABB案内役の客室乗務員

▲建設中の相鉄・東急直通線の新横浜駅を見学する参加者

▲線路に降り立って撮影できる時間も

▲参加者に配られた記念品