2度の食事の間は10時間超! 遠回り欧州便に乗ってみた【レポート】

中国上空が結構混んでいる

実際に乗った印象では、以前日本からトルコに向かった時とほぼ同じルートだと理解しました。しかし最近は中国上空がずいぶん混んでいるらしく、なかなか良いルートで航路を描くことができません。筆者が乗った便は、出発が1時間ほど遅れました。理由を聞くと、「中国上空を通るのに、定刻出発では許可が下りないため、出発当日になってフライトプランを書き直した結果」ということでした。

結局、実際に飛んだ時も、新疆ウイグル自治区からカザフスタンへと抜けたのですが、中国内ではかなりのジグザグ飛行に迫られました。あるいはここで時間のロスが結構あったかもしれません。飛行情報提供サービスの「RadarBox」によると、アジアと欧州を結ぶ巡航中の中大型機は概ね、同じ航路を飛行していることがわかります。

楽しみにしていた機窓からの眺め

成田発チューリッヒへの便は全行程、明るい時間に飛ぶことになります。天気が良ければ機窓から外の眺めを楽しめそうです。いくら映画やゲームが好きでも、さすがに15〜16時間のフライトで間をもたすのはきついことでしょう。時々、外を眺めることで見たことのない風景を楽しんではどうでしょうか。

筆者が楽しみにしていたポイントは2か所ありました。中国からカザフスタンに入る付近の雪山、それとカスピ海の上空からの眺めです。いずれも天気が良くて、見事な眺望が楽しめました。それ以外にも、中国のゴビ砂漠や、ジョージア上空でのコーカサス山脈、そしてトルコでの黒海沿岸の様子など…。機内で表示される地図と睨めっこしながら外を眺めることで長いフライト時間が退屈しないように心がけました。

ちなみに、「北回りルート」を選択している日本航空(JAL)やフィンエアーに乗ると、冬場ならオーロラがどこかしらで見られます。しかし、これから夏に向かう時期は「日が暮れない」一方、氷に覆われた北極付近の様子を見ることができそうです。

2度の食事の間は10時間超えに

日欧間のフライトは。そもそもが所要時間が12時間を超える長丁場でしたが、これが15時間を超えるとなると「未知の世界」と感じる人も多いのではないでしょうか。

一番困るのは機内での食事でしょう。エコノミークラスでは従来通り、2食しかサービスされないわけですが、その2度の食事の間は10時間以上も空きます。途中で簡単なサンドイッチのような簡単な食事は配ってくれますが、多くの人は「これでは足りない」という人もいるかもしれません。出発前に食事をあらかじめ購入しておいた方が良さそうです。

搭乗したスイス・インターナショナル・エアラインズの便では、本場のスイスチョコレートをはじめ、地元の特産品を生かしたお菓子を多数用意。幸いなことに、持参したおにぎりを食べずしても、十分にお腹が持ちました。

便数減少で予約が困難に?

JAL ANA

航空各社は遠回りでの飛行が強いられる中、運航便数や飛行ルートの適正化を図っています。その結果、日欧線は顕著に便数が減っています。

そうした中、日本政府がコロナの水際対策を緩和。一部外国人の入国を認めたり、ビジネス関係者の出入りも多くなり…といった事情が重なり、日欧線に乗るための席の確保はかなり難しくなっています。「既に予約が確定していたのに、便がなくなった」という人たちの救済もままならない一方、中には「経由便のはずが、直行便に回った」と喜びの声を上げる人もいて、ひきこもごもといった状況です。

日欧間ルートとしては、中東やトルコ経由で飛ぶ選択肢もあります。費用が割と安い、ということで一定のニーズがあるわけですが、直行便でも長時間飛行となる中、あえて経由便を目指すのも得策です。

エミレーツ航空やターキッシュ・エアラインズなどは、ドバイやイスタンブールなどの自社のハブ都市でのストップオーバープランを設定しています。会社によっては、無料の宿泊や観光プランも付けてくれるところもありますから、むしろ新たな場所で見聞を広めるチャンスになるかもしれません。

ウクライナ危機で、日欧間ルートはとても長いフライトが強いられるものとなってしまいました。しかし、コロナ禍により海外旅行ができなかった期間が2年も続き、「長い休みが取れたら遠くへ行きたい」という気持ちを持つ人も多いことでしょう。早く「気楽に欧州に行ける日」が来ることを望みたいものです。

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