JR西日本、特急「やくも」に新型「273系」導入 4両編成、計44両

JR西日本は、2024年春から岡山〜出雲市駅間を運行する特急「やくも」に273系特急形直流電車を投入する。

新型車両は、同社が鉄道総合技術研究所と川崎車両と共同で新たに開発・実用化した、国内初となる「車上型の制御付自然振り子方式」を採用し、乗り心地を向上させる。現在は、曲線に差し掛かった際に振り子のように列車を傾斜させる自然振り子方式を、特急「やくも」で運行している381系車両が採用している。この自然振り子方式では、曲線で発生する遠心力を利用して車両を傾斜させるため、曲線通過と車体の傾斜にタイムラグがあり、乗り心地が悪化する問題があった。

鉄道各社は、乗り心地の問題を解決するため、「制御付き」自然振り子方式を採用し、曲線での車体傾斜を制御する方式を採用した。通常、制御付き自然振り子方式はATS(自動列車停止装置)などの保安装置の地上子とよばれる線路内に設置された装置から判定することが一般的であったが、新型車両は車両で検知した曲線のデータから走行位置を判定し、曲線での車体傾斜を制御する。これにより、新たに線路上に地上子を設置する必要なく、乗り心地を向上できることが期待される。

また、座席間隔を拡大し、座り心地を改善した座席や空気清浄機を採用、防犯カメラの設置などで快適・安心な車内環境をつくる。また、車内Wi-Fiや大型荷物スペースを設置し、全席にコンセントを備え付ける。

投入数は、4両編成を11編成、計44両で、営業運転開始は2024年春以降を予定している。この新型273系により、特急「やくも」として運行開始から約40年が経過する381系は置き換えられる見込み。なお、詳細の仕様やデザインは検討中としている。