中吊りにアート作品 1編成まるごと“美術館”になった山手線、1月18日から限定運行

JR東日本は、“いつもとちょっと違う乗車体験”を提供する山手線の車両を東京総合車両センターで公開した。1月18日から2月1日までの期間限定で運行する。

コロナ禍が長期化する中、駅や電車内でアートや音楽を楽しんでもらうことで、日常に彩りを添えたいという東京支社の企画「HAND! in YAMANOTE LINE」の一環。E235系のうち1編成(トウ11編成)を「山手線 ver.HAND! by東京感動線」として、アート作品を車内に展示する「YAMANOTE LINE MUSEUM」や、「いつもとちょっと違う車内放送」など、乗客が楽しめる複数のコンテンツを展開する。

車内の中吊りスペースには一般的な広告ではなく、雲のようなキャラクターのソフビ人形や、アイロンビーズの作品などが吊り下げられている。これらは11名の若手アーティストによる作品で、各車両2〜4作品、計24作品を展示している。全て一点物で、気に入った作品があれば掲示されているQRコードから購入することも可能。高尚なものと思われがちなアート作品を身近に感じてほしいという思いが込められている。

「東京感動線が送る特別な山手線にようこそ」。次の停車駅を案内する通常の自動放送のあと、いつもとちょっと違うこんなセリフが放送された。声の主は大の鉄道ファンでもあるというニッポン放送の飯田浩司アナウンサー。この車両限定で、沿線の魅力や歴史を紹介する特別な自動放送を流す。紹介されるのは旧新橋停車場や高輪築堤など、内回り列車は5箇所、外回り列車は6箇所。山手線で小さな旅気分を味わってほしいという。

また、車両メディアの新たな価値創造として、乗客のスマートフォンで拡張現実(AR)技術を体験できるコンテンツや、鉄道を通じたより良い暮らしの実現を目指すJR東日本の取り組み「Well-being as a Service(WaaS)」の紹介コーナーなども展開する。


このほか1月25日からは、山手線沿線のお気に入り風景などの写真を募集する「つながる山手線キャンペーン」に寄せられた作品の一部を車内ドア上のディスプレイで紹介することも検討中。TwitterまたはInstagramでハッシュタグ「つながる山手線」を付けて投稿すると応募できる。

企画を担当したJR東日本東京支社事業部の齊藤千明さんは、「日常の電車がいつもと違う空間になっているということを楽しんでほしい。乗客同士で『なにこれ!』という反応が巻き起こると嬉しい」と話している。

なお、「HAND! in YAMANOTE LINE」では3月7日まで、山手線の各駅でアートや音楽、地域の魅力を感じられる様々なイベントを展開する。