就航延期のベンガルール線、臨時便でJALが運んだ”インドワイン”

新型コロナウイルスの影響で、定期便の開設が約2年に渡って延期となっている、東京/成田〜ベンガルール(バンガロール)線。”インドのシリコンバレー”とも言われ、IT産業の集積地であるベンガルールは、JALにとってインドへ2路線目の開設になるはずだった。

定期便の開設は先送りになっているものの、2020年4月には邦人退避を目的とした臨時便を3本運航。今年3月からは隔週、8月からは週1便の臨時便を運航している。そんな同路線を安定運航すべく、社員の考案により輸送を始めたのが、「インドワイン」だ。

同路線を含むインド路線では、主に自動車部品や電子部品、衣類、医薬品、観賞魚を輸送している。定期便の就航後に日本から観光客の誘致に繋がる、南インドの認知度向上や魅力発信に着目し、ベンガルール郊外でワインを醸造するグローバー社のワインに白羽の矢を立てた。日本の輸入販売店であるアンビカコーポレーションも同調し、空輸に至ったという。ボジョレーの解禁に合わせてPRを行う目的で、11月6日到着便で、516本、835キロを輸送した。

インドでのワインの醸造は、紀元前4世紀頃に始まった。その後、病虫害の影響で衰退したものの、1980年頃から復活したという。インドでも標高が高く、寒暖差がある地域でつくられている。ヨーロッパへの輸出がメインであるものの、徐々にインド国内のほか、世界各地への輸出が増えている。グローバー社のワイナリー、グローバー・ザンパ・ヴィンヤーズは標高800メートル程度に位置しており、特にカベルネ・ソーヴィニョンやシラーズなど、晩熟で濃厚なブドウの栽培に適しているという。

辛口のスパークリングワインは軽くスパイシーなインド料理、日本料理、中国料理、タイ料理など、フルボディの赤ワインはミディアムスパイシーなアジア料理、赤身、ジビエ、鶏肉、香りの強いチーズなどに合わせやすい。

輸入したワインは、東京・有楽町の「JALプラザ」やJALショッピングで販売し、JALプラザで販売した空輸分はすでに完売している。インド駐在経験者からは「懐かしい」、インドワインを知らない人からは「インドでワイン生産していることすら知らなかったが、試してみたい」という声があるといい、評判は上々だ。JALショッピングでは、1,000円〜2,000円台のワイン4種類を現在も販売している。

JALによると、今後のワインの空輸は未定であるものの、コーヒーなどの他の特産品の輸送を視野に入れており、社員による南インドの認知度向上と貨物需要の創出につなげたいと意気込んでいる。