ANA、「快速宅空便」の料金値上げ 11月1日から
価格”低空飛行”で「LCCが逃げ出すレベル」 東京/羽田〜鹿児島線、JALは5,400円から【コラム】
価格の”低空飛行”が止まらない。全日本空輸(ANA)・日本航空(JAL)・ソラシドエア・スカイマークが競合する東京/羽田〜鹿児島線。年度内を対象にJALが最安5,400円からで販売しており、LCC(格安航空会社)が太刀打ち出来ない状況になっている。この状況を詳しく解説していく。
鹿児島空港は、鹿児島市から北東に約30キロメートル。鹿児島市中心部からは高速を経由する空港連絡バスで約40分。現在は減便ダイヤで20分間隔で運行している。筆者も東京/羽田〜鹿児島線でJAL便を中心に何回か利用しているが、ビジネス客も観光客もまんべんなくいるものの、ビジネス客のほうが多い印象を受けた。
加えて、鹿児島空港では、奄美群島方面へのハブにもなっており、鹿児島〜奄美大島線はJALグループのジェイエア、日本エアコミューターとスカイマークが1日10便程度を運航している。このため、東京・名古屋・大阪などから乗り継ぐ客も多く見受けられる。
それもそのはず、旺盛な航空需要によって、東京/羽田〜鹿児島線は新型コロナウイルスによる減便を除き、時刻表ベースで1日22便が設定されている、年間利用者234万人、羽田発着で第5位(2019年度、国土交通省調べ)の大きな存在感を示す路線なのだ。
JALで羽田発鹿児島行が5,400円の衝撃
価格を比較していこう。Googleフライトなどによれば、執筆している11月21日時点の東京/羽田発鹿児島行きの最安値は、JALが片道5,400円、スカイマークが同5,700円、ANAとソラシドエアが同6,400円となっている。いずれも羽田空港の空港使用料は別途必要。各社とも、無料で座席指定や手荷物の預け入れができ、スカイマークはコーヒーのみだが、各社ともにドリンクサービスがある。
これに対して、同日時点のジェットスター・ジャパンの東京/成田発鹿児島行きの最安値は、空港使用料や支払手数料を除いて片道5,680円。2013年の就航時には1日最大2往復を設定していたが、現在は1日1往復の運航で、座席指定や手荷物の預け入れは別途必要だ。
片道6,000円程度を出せば、羽田発着の様々な航空会社の便から選ぶことが出来る。もちろん最安値の運賃は、各日ともに早朝便や、行楽やビジネスに利用しづらい便が多い。また、繁忙期の運賃は、レガシーキャリアと呼ばれるANAやJALなどはもちろん、各社ともに高くなる傾向はあることには留意すべきである。
しかし、すでにジェットスター・ジャパンが1日1往復となっていて、羽田発着の各社の運賃が”低空飛行”な状況では、価格や利便性など総合的にみてLCC側が不利だ。
この状況を裏付けるように、大手LCCのピーチ・アビエーションは、10月31日から始まった冬ダイヤから、東京/成田〜鹿児島線を運休している。理由は明らかにしていないものの、レジャー路線に強いとしてシフトするピーチが、価格が下落傾向で、フルサービスの航空会社と価格競争を強いられる同路線から撤退するのは、無理もないだろう(大阪/関西〜鹿児島線は運航中)。