ANA平子社長、被災地を快走 五輪聖火リレースタート

東京オリンピック・パラリンピックの聖火リレーが、きょう3月25日より始まった。福島県楢葉町・広野町のJヴィレッジを出発し、オリンピック開会式の7月23日までの121日間、47都道府県をめぐる。

聖火リレーのコンセプトは、「Hope Lights Our Way/希望の道を、つなごう。」。サッカーのトレーニング施設で、原発事故の対応拠点としても使われたJヴィレッジを出発する第1走者は、2011年の女子ワールドカップで初優勝した、「なでしこジャパン」のメンバーが務めた。

五輪聖火輸送機

聖火は、古代オリンピックの聖地である、ギリシャのオリンピアで2020年3月12日に採火された後、アテネでの引き渡しを経て、3月20日に航空自衛隊松島基地に到着。オフィシャルエアラインパートナーである全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)が共同で、特別塗装機「TOKYO 2020号」で運んだ。復興の火として被災地で展示後、14の道府県でも展示し、6万人以上が観覧した。

桜ゴールドのトーチは、全長71センチ、重さ1.2キロ。東日本大震災の復興仮設住宅のアルミ建築素材を約30%使った。燃焼部には、聖火を保ち続けるため、火力の強い青い炎と、火のない燃焼の2つの燃焼によって、聖火の赤い炎を支える仕組みが採用されている。一部区間では、オリンピックで初めてとなる、水素を燃料とするトーチを使用する。

初日には、楢葉町、広野町、川内村をめぐった後、第5区間のいわき市の出発地、いわき陸上競技場からは正午過ぎに出発。2006年に常磐ハワイアンセンター(現スパリゾートハワイアンズ)を舞台とした映画「フラガール」に出演し、日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞した、南海キャンディーズのしずちゃんこと山崎静代さんが第1走者を務めた。第2走者はANAの平子裕二社長で、いわき陸上競技場から駐車場までの数百メートルを、時折笑顔で沿道の声援に応えながら快走し、聖火をつないだ。

平子社長は志望理由として、「航空会社の最大の魅力であり使命でもあるのは、人やモノの移動をお手伝いすることです。2011年の11月は「福島復興応援フライト」と称して小学生に遊覧フライトを楽しんでいただくなど、自然災害によって被害を受けた地域の復興支援活動を始め、これまでも地域創生について積極的に取り組んできました。福島空港を発着する航空便を通じてこれからも福島県の魅力を多くの方々に届けられるようにいたします。コロナ禍で生活様式や価値観が大きく変化しました。私ども航空サービスの原点に立ち返り、この時代にふさわしい、なくてはならない価値のご提供に貢献してまいります。そして「コロナを克服した後の安心、安全な世界の象徴」として開催される東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の果実を国民の皆さんと分かち合えるよう精一杯努めてまいります。」とコメントした。

ANAグループでは、ひまわりの植林活動「花を咲かそうプロジェクト」、仙台空港周辺での「海岸林再生プロジェクト」、東北の花々をデザインした「東北FLOWER JET」の就航など、福島をはじめとする東日本大震災の復興支援に取り組んでいる。

この他に初日には、日本電信電話(NTT)の澁谷直樹代表取締役副社長、ダウ・ケミカル日本の桜井恵理子代表取締役会長兼CEO、エアレースパイロットの室屋義秀さん、ANAの「東北FLOWER JET」初便の副操縦士を務めた松橋北斗さんなども、福島県の被災地を走った。