九州佐賀国際空港がイノベーション推進の拠点に 空港地上支援業務に先進技術のプロジェクトが開始

全日本空輸(ANA)と佐賀県は、3月26日、航空技術を取り巻く環境変化に対応すべく、九州佐賀国際空港をイノベーションモデル空港と位置づけ、新しい技術を活用した働き方改革を推進するプロジェクトについて発表した。

空港地上支援業務のSimple&Smart化に向け、佐賀空港を新しい技術を試す実験場として位置づけ、ANAグループが取り組む先進技術を1拠点に集めることで、目指すべき働き方モデルを可視化し、一連の業務工程の相互連携を図りながら「新しい働き方」を検証していく。

今後はリモートコントロールによる航空機の移動・けん引の実用化、ロボットスーツを活用した手荷物や貨物の積み込みと積み下ろし、手荷物の自動積み込み技術やコンテナ搬送の自動化技術についても実用化を目指していく。

発表に先立ち、ANA代表取締役専務執行役員の清水信三氏は「航空需要は順調に伸びているが、生産年齢人口の減少による担い手の不足は顕在化している」と述べ「技術革新の流れを捉え、人と技術の融合と役割分担の見直しを測ることで単純型労働から解放し、より付加価値の高い仕事へシフトしていくSimple&Smart化の推進が必要だと我々は捉えている」とコメントした。

佐賀県はプロジェクトに協力し、佐賀空港が「誰もが働きやすく魅力ある職場」となるとともに佐賀空港の利用者へのサービスの質の向上に期待している。佐賀県知事の山口祥義氏は「空港の利用者が80万人を突破し、開港して以来ずっとANAと信頼関係を深めてきた」と述べ、「新たな取り組みへの期待に胸を膨らませている」イノベーション推進の拠点化に期待を寄せた。

リモートコントロール式航空機けん引・移動は4月中旬から訓練開始予定で、熟練した技術を伴わず、誰でも安全にかつ簡単に航空機のプッシュバック業務を担える状態を目指すという。山口知事もリモートコントロールによる操作を体験した。

ロボットスーツを活用した作業負荷軽減は2月から既に実用を開始。装着型ロボットを活用し、重量物の運搬・搭載業務の作業負荷軽減を目指していく。

手荷物自動積み付け技術は2019年度内に実証実験を実施予定で、人とロボット技術の役割分担を通じて、手荷物をコンテナへ搭載する業務が安全かつ効率的に実現できる状態を目指していく。

トーイングトラクター自動走行技術は3月26日から4月5日に走行試験を実施し、自動走行技術の活用を通じて定型反復型業務である、コンテナけん引車両の運転業務から人の役割が解放されている状態を目指していく。

今回は、ANAと豊田自動織機がこのプロジェクトの一環として、国内初となるトーイングトラクターの自動走行テストが公開された。公開に伴い豊田自動織機、常務役員の一条恒氏が挨拶し「私どもは1980年代からEV化や自動運転に取り組んできた」とコメントし「最新の技術を取り入れてさらに進化する方向に向けて、進めている」と取り組みを述べた。

自動走行テストでは、障害物の検知や他車両との交差や追い越しなど実際の運用を想定したテストが行われた。今後は、自動走行技術により航空業界における物流の自動化と高度化の実現を目指していく。

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