全車両にコンセント 丸ノ内線の新型車両「2000系」初公開

東京メトロはきょう10月11日、2019年2月の運行開始を予定している丸ノ内線の新型車両2000系をメディアに公開した。

2000系の外観はかつての丸ノ内線を彷彿させる赤い全面塗装が特徴で、その色は「グローイング・スカーレット」と呼ばれる。

白色の帯には、丸ノ内線の象徴でもある「サインウェーブ」のデザインが取り入れられた。ホームドアがある駅でも視認しやすいよう上部に配置されている。

(参考)現行車両の02系。登場時はサインウェーブがなかったが、2010年に復活した。

車両前面の行先表示器にはLEDナンバリングが表示されるようになった。

前照灯はLED化。

さまざまな箇所が丸みを持ったデザインになっており、同社では初めてとなる丸窓を車端部に採用している。

車内の随所にも丸いデザインが取り入れられ、開放的な車内空間を演出する球面形状の天井パネルが特徴的だ。

各車両の車端には、小物が置けるテーブルや荷物掛けを備えたフリースペースが設置されている。また、「緊急時に携帯電話を少しでも充電したい」という意見があったことから、小電力機器の充電が可能なコンセントを試験的に全車両に設置した。

車内表示器として各ドア上部に17インチワイド液晶を3画面搭載。

車両間のガラス扉には衝突防止標記として、国会議事堂やいけふくろうなど、沿線の名所や風景などがデザインされている。

車両の安全・安定性も向上している。台車は銀座線1000系などでも実績のある片軸操舵方式を採用し、レールと車輪との摩擦で生じる「キーッ」という音(きしり音)が低減されている。また、大規模停電などの異常時を想定し、駅間に停止した際にも最寄駅まで走行できる非常走行用バッテリーを搭載。万一脱線した場合にも自動で列車を停止させる脱線検知装置を、東京メトロの車両として初めて搭載した。2022年末に稼働予定の無線式列車制御システム(CBTC)にも対応する。また、永久磁石同期モーター(PMSM)やフルSiC制御装置を採用したことにより、02系と比較して約27%の消費電力削減が見込めるという。

同社車両部設計課課長の荻野智久氏は、「見て“あっ”と驚くデザイン。車両の丸いデザインや貫通引き戸に施した沿線のロゴマークなど、色々な発見があると思う。スピーカーも広帯域・高音域の音質のものに変わった。空調能力も向上している。毎日の通勤が少しでも快適なものになると信じている」とアピールした。

2000系は2022年度までに53編成318両が導入され、1998年から約30年に渡って運行している02系が置き換えられる。なお、中野坂上~方南町間の分岐線では3両編成の02系80番台が運用されているが、これらの置き換えについては現時点で未定。2019年度には方南町駅の6両編成対応化工事が完了する予定だが、「車両の運用などはこれから検討していく」(荻野氏)という。