顔は通勤電車、走りは「新幹線」? JR東が運営権を獲った英国の電車に乗ってみた【さかいもとみの旅力養成講座】

仕様は通勤電車、速度感は新幹線?

線路はヴァージントレインズの高速振り子車両と共用している(写真:さかいもとみ)

WMTの列車が走るロンドンから北に向かう線路は、高速線と各駅停車用の緩行線との複々線となっています。

筆者はロンドン・ユーストン駅から約85キロ離れたミルトンキーンズ間までの無停車で走るWMTの通勤電車に乗ってみました。見た目はフツーの通勤車両ですし、複々線なので「列車は緩行線を走るけれど、途中駅に止まらない程度のことだろう」と思って乗っていました。

ところが実際に乗ってみたら「通勤電車」とは思えないパフォーマンスで走ります。上り線をすれ違う列車のほとんどは線路を共用するヴァージントレインズの「ペンドリーノ」と呼ばれる高速振り子車両ばかり。慌てて乗っている車両の仕様をチェックしたら、通勤電車なのに最高時速180キロという優れもの。乗り心地も走行音もどちらかと言えば新幹線に近い感じとなります。印象を述べるとしたら、「品川から熱海に行くのに快速アクティに飛び乗ったら、乗った電車がいきなり新幹線に化けた」くらいの衝撃を感じました(ちょっとこじつけですが)。

JR東日本のプレゼンスは感じられるか?

WMTは運営に当たって、新たに鉄道会社の名称2つを考案した(写真:さかいもとみ)

WMRの入札に当たり、日本側2社の出資比率は合わせて29.9%でこれをJR東日本と三井物産が等しく分けている。残りの70.1%はアベリロが出資しています。つまり、日本側は資本構成では半分に満たないマイナー出資者にとどまります。

日本人としては、せっかくJR東日本がフランチャイズに参加している訳ですから、英国の電車なり駅なりでJRのロゴが目にできるかどうかが気になります。しかしいまのところ、全くそれらしい表示やロゴはどこにも見当たりません。唯一それらしい文字があったのは、車内で繋がるWi-Fiサービスの会社案内画面に「私たちのWMTは3社のコンソーシアムにより構成されています」と記されていたことでしょうか。

WMTの名での運行は12月10日に始まったばかりで、新会社のロゴ付き車両さえも見ることができませんでした。フランチャイズを他社から譲り受けてすぐの時は、どこの路線でもそんなことが普通に起こるので、準備が間に合っていないこと自体は決して不思議ではありません。

JR東などが持つWMTの運営権は契約期間が10年もあります。運行はまだ始まったばかり。今後、このフランチャイズを通じ、なんらかの形で日本の鉄道文化(特に時間に厳しい運行?)が英国に伝わるきっかけになることを期待したいものです。

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