年間記事アクセストップは「てるみくらぶ」、Traicyオフィスリアル炎上記も【2017年総まとめ】

2017年もあとわずかとなりました。読者のみなさんはどのような年末を過ごしていらっしゃるでしょうか。

旅行中という方も、帰省中という方も、のんびり過ごしているという方もいらっしゃるかと思いますが、筆者はちょうど羽田から北九州に向かうところとなる。初日の出フライトを取材するための”前乗り”で、恐らく年越しは空港横の某ビジネスホテルで過ごすことになるのでしょう。

今年の締めくくりとして、今年よく読まれた記事のキーワードを集計しトップ5をご紹介します。各メディアも同様の記事を出していますが、全て一致しないところが面白いところですので、ぜひ比較してみてください。

1位:てるみくらぶ

ほとんどの業界メディアでトップとなったのは「てるみくらぶ」についての話題となる。3月27日に東京地方裁判所に破産申し立てを行い、負債総額は約150億円にのぼりました。すでに支払い済みの旅行者に対する弁済はわずか3.5%という異例の低い弁済率となり、前受金の異常な膨らみを防止することなどが観光庁で議論されるなど、影響は多方面に渡りました。その後、2013年から粉飾決算を行ってきたことも判明したほか、銀行に対する詐欺容疑で社長と会計責任者が逮捕されている。

てるみくらぶ、ツアー催行を当日に中止 事業停止へ
【会見全文】てるみくらぶ社長会見 詐欺は強く否定「とにかく生きることしか考えてなかった」

2位:JR&新幹線の周年イヤー

2017年は、1982年に開業した上越新幹線や東北新幹線が35周年を迎える「SHINKANSEN YEAR 2017」であるとともに、JR発足30周年でもありました。

JR東海は東京〜名古屋駅間が7,700円となる割引運賃を設定したほか、新幹線の多くの線区で席数限定ながら数千円台の特別運賃を販売したことから、話題となりました。

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JR発足30周年記念で、東海道・山陽新幹線が30%オフ! 東京〜名古屋駅間は7,700円

3位:エアアジア&スクートの関空〜ハワイ線就航

シンガポールの中長距離格安航空会社(LCC)であるスクートと、マレーシアの中長距離LCCであるエアアジアXが、揃って大阪/関西〜ホノルル線を開設した。

大阪の旅行会社の方によると、関西では直行便でハワイに行きたいという需要が多く、さらに日本航空(JAL)で行きたいという需要が富裕層や高齢者を中心に強いといいる。繁忙期を中心に予約が取れないと嘆いており、低価格を求める利用者がLCCに流れることで、よりマーケットの拡大が期待できる。

ハワイへ片道8,811円! エアアジアXが就航記念セール開催、2,500席限定
スクート、大阪/関西〜ホノルル・シンガポール線就航 12月19日から

4位:外貨両替

LINEがSBJ銀行と共同で外貨両替を始めたことや、ポケットチェンジやトラベラーズボックスといった外貨の小銭を電子マネーに交換できる機械に関する記事も話題となりました。2017年はポケットチェンジの設置箇所の拡大が顕著で、設置箇所の関係者によると、電子マネーの交換のために機械がある場所に行くという人もいたといいる。

LINEで外貨両替を試してみた キャンペーン期間中はかなりお得【レポート】
外貨のコインも電子マネーに! 羽田空港に設置された「ポケットチェンジ」を早速使ってみた!
【レポート】なんと小銭が11倍に化けた!? 成田空港に設置された外貨を電子マネーに交換できる「TravelersBOX」を使ってみた

5位:ジェットスター6円、エアアジア5円セール

エアアジア・ジャパンは日本再参入と名古屋/中部〜札幌/千歳線の就航開始に合わせて、航空券をご縁にちなんだ片道5円で販売するセールを行いましたが、ジェットスター・ジャパンは6路線にちなんで6円で販売するなど、久しぶりの一桁台のセールが話題となりました。

ジェットスターとエアアジアの仁義なき戦い 5円セールと6円セール、どっちがお得?

その他にも、3月に毎日行われたピーチ5周年記念の日替わりセール、ラオックスがオープンしたサバゲー場などの体験型アトラクションを儲けた「千葉ポートスクエア ポートタウン」、カタールと中東諸国の断交、アリタリア航空とエアベルリンの経営破綻、ボーイング747型機、顔認証の出入国ゲートなどが上位を占めました。

変わり種では61位にクラブツーリズムが主催した「貨物線ツアー」、企業ごとにみると、セール記事が多い航空会社を除けば、様々な会社への出資や新サービス「エアトリ」のオープン、まぐまぐの子会社化などのニュースが続いた「エボラブルアジア」が突出している。

クラブツーリズム、JR東海の貨物線を走るツアー 待避線や貨物ターミナル駅に停車
エボラブルアジア、まぐまぐを子会社化 約11.5億円で

搭乗レポートでは、マリンドエアやカタール航空、アメリカン航空のレポートが良く読まれました。2015年末に掲載した「JAL SKY SUITE」の体験記事も好調となる。

コラムニストは他媒体で実績がある方を中心に徐々にお声がけを増やしており、2018年にはより多くのコラム記事の掲載ができればと考えている。体験記事では9位に「日本最低評価の宿」レポートがランクインし、数日間に渡って高い数字を維持した。

その噂は本当か? ”日本最低評価の宿”に泊まりに行ってみた【レポート】

ちなみに、ターゲットが限定されるためSNSなどで拡散されにくいホテルに絞ると、マリオット・インターナショナルが東京と大阪に同時オープンした「モクシーホテル」が注目を集めている。筆者はオープン日に東京・錦糸町に宿泊しますが、年明けに大阪・本町にも宿泊する予定ですので楽しみとなる。マリオット・インターナショナルといえば、森トラストが保有するラフォーレブランドのホテルを「マリオットホテル」へのリブランドしたことも話題となりました。

マリオット、ミレニアル世代向けブランド「モクシー」を東京と大阪に2店舗同時オープン

火元は隣の店舗兼住宅だった。

2017年の私的なニュースといえば、3月18日午前0時半過ぎに弊社が入居するビルが隣家からのもらい火により半焼したこととなる。炎上記事を書けるメディアは数あれど、今年”リアル炎上レポート”を書けるのは弊社と日本経済新聞のみですから、詳しく書いてみます。

普段は午前0時過ぎに地下鉄の駅に走り、ほぼ終電で帰宅するのですが、この日はビルの外に出たところ、なにか嗅いだことがない不思議な臭いがしたことを鮮明に覚えている。終電の時間が迫っていたことや、近くに焼き鳥屋があることからあまり不審に思わずに帰宅したのですが、午前3時頃にパソコンを開き、ヤフーのトップ画面を開いたところ、自社が燃えている写真が掲載されているわけですから、堪ったものではありません。

Twitterで一般の人が投稿している動画を見る限り、火柱が立っていて全て無事であることは難しいであろうことは容易に想像できたため、スタッフには出勤しないように伝えました。結局は店舗など9棟が焼けたようでしたが、人的被害はなかったことは不幸中の幸いでした。鎮火は翌朝だったようで、餅は餅屋ですし、あれこれ騒いだところでどうにもならないので就寝し、起きた時には夕方でした。予想通り、建物には近づくことすらできない。

鍵はきれいに壊されていた。本当に消防隊員の方々は大変だったと思う。

結局、建物に入れたのは現場検証後となる3月22日でした。ヘルメットを被り、非常階段で8階まで上っていきましたが、2階、3階をみると、目も当てられません。建物や各部屋の全ての鍵が壊され、消防隊員が取り残された人がいないか確認した形跡がわかります。

近くに停めてあった車の屋根も焼けていた。車ごと燃えていたらもっと被害は拡大しただろう。

上から火元側を見ると、木造の建物や店舗がごっそりと瓦礫の山になっていました。入居時にできるだけ古い建物はやめようと思って選んだ築浅の鉄筋コンクリートの建物だったわけですが、やっぱり安心となる。いや、こうなった以上は選んだのも不幸だったのか…。

2階部分の様子。爆弾が落ちた後と言われても納得してしまう。

低層階は相当ひどい焼け具合だった。

実際、8階から最上階の10階部分は中低層階と比べれば最悪の状態ではありませんでした。低層階では爆発によって火元側の窓が割れ、室内ほぼ全てに火が回っていましたが、8階以降は窓にヒビが入ってはいるものの、全て割れるのは防げていました。しかし、室内は常時換気がされており、通気口が火元側だったこと、空調を付けっぱなしだったことなどから室内は煤だらけで強烈な臭いがします。壁側のプラスチック製の通気口から火が入ってきたようで、書類や本の一部が焼失し、棚は再度使用することはできませんでした。さらに室温が上がったことが原因なのか、プリンターが動作しなかったり、火元側にあったケーブル類が焦げていて交換する必要にも迫られました。

避難はしごがあるバルコニーに数日前に置いたダンボールには火が燃え移ってしまい、無残にも燃えカスとなっていました。ということは、万一にも室内にいて避難はしごを利用して非難する場合には火をかぶるリスクがあったというわけで、うまく逃げないと火だるまになりかねなません。今回は避難経路は2ヶ所ありましたが、もう一方は1階から道路に出る際に火元のすぐ横を通らないといけないため、現実的に逃げることは不可能。今後住宅やビルを借りる際にはよく考えるべきだと実感した。2日前は確定申告書の最終確認のため徹夜していましたから、数日違えば巻き込まれていたかもしれないと思うとゾッとします。

一方で良い事もありました。それは賃貸借契約が一方的に打ち切りとなったことで、支払い済みの家賃の一部が返ってきたことや、管理会社が保有する移転先のビルが近くにあり、スタッフにそれほど多くの苦労をかけることなく通勤してもらうことができたこと。良いことの後は悪いことも判明するわけで、家賃はこれまでより2割強ほど値上がりし、さらに部屋が狭くなったことから支給される机の大きさが合わず、新たに購入する必要が出てしまいました。事業計画も一部見直しの必要性が出てきたり、メキシコ取材をキャンセルして取材先の方にもご迷惑をおかけした。もちろん、記事のネタが多く書き入れ時の3月であることから手痛い売上の減収、人件費の増加にもつながっている。火災保険には入っておらず、こういう時に限って火事は起こるものなのだと実感した。

一人で積み込んだ机や棚。結局2回にわけて運び込んだ。生まれ変わっても引越し業者にはなりたくないと思った。

鉄骨部分まで損傷があった場合には取り壊しとなるので元の場所に戻れるかわからないと言われていましたが、幸いにも年末の12月17日、再度ビルへの入居が開始されたことから真っ先に移転し、元の環境に戻ることができました。まだダンボールが積まれた状態ではあるものの、その状態でも移転先より広く、相変わらず断熱材をケチったようで深夜になると異常に寒いビルなのですが、そこそこ快適に仕事をこなすことができる。

人件費を圧縮しようと一人で搬出搬入を行ったのですが、完全に計算ミスでした。机の脚が出せない、高さが大きすぎてエレベーターに乗らない、分解できない、さらに重い。そしてトラックやバンが借りられず、やっと見つけたのは東陽町のタイムズカープラスで3時間だけということで、大急ぎで運び込むみました。華麗なる計算ミス、翌日は筋肉痛で動けなかったのは言うまでもありません。もう二度と経験したくないものとなる。

その他では、2017年にはアトランタ、ロンドン、クアラルンプール、バンコクなど多くの都市への出張、3月には宮古島へ社員旅行にも行くことができ、飛び回った一年でした。来年はもう少し地に足をつけていたいと思いつつ、そうはならないんだろうなとも思う。

それではみなさん、よいお年を。

追伸:Amazonの欲しいものリストを作りました。読者の方のご支援もお待ちしております(利害関係者、取材先の方はお気持ちだけで、お控えください。)。