ANAの就航で期待高まるミラノ、観光や貨物需要の顕在化でデイリー化も見込む
ANA総研と天草市、東京大学がドローン活用で協定 あす有人機と日本初の実証実験
ANA総合研究所、天草市、東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻鈴木・土屋研究室は、ドローンを活用した社会基盤構築に向けた協定を締結した。
防災、水産業、観光でドローンの活用を目指す天草市と、地域活性化で協力関係があるANA総合研究所、東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻鈴木・土屋研究室が連携し、ドローンの将来性を見据えて有人機とドローンの共存に向けた調査、海上でのドローンの有効活用に向けた安全で信頼性の高い自立飛行制御技術の研究に取り組む。
天草市の中村五木市長は、「国が発表した平成27年国勢調査では人口が10年間で14,000人減少した。全国的に高齢者人口が生産者人口を上回る地域が出てきている。安心して安全に暮らせる高齢社会を支える技術としてドローンに注目が集まり、将来は現在のインターネット環境のようにドローンの活用が当たり前になる時代が来ると考えている。観光地などで個人が使用するケース、民間企業のPR、養殖業者の生け簀の状況確認など様々な利用が始まっている。社会的な流れを受けて予算化を行い、行方不明者や災害、防災面での活用を主な目的としてドローンを導入した。一方で素晴らしい道具であると同時に、危険が伴うところも指摘されている。活用を開始するにあたって安全性を第一に取り組みたいとの意向があった。ルール策定や操作する職員の育成、防災面での機能的な利活用を開始し、赤潮対策など幅広い分野でも活用できる。」と期待感を示した。
ANA総合研究所の岡田晃代表取締役社長は、「社内でドローンをグループの新たな事業として考えようということで、新たなプロジェクトもスタートした。ANA総研が新たなステージの架け橋になりたい。ドローンと民間機の共存するための新たなステージになる。ドローンは社会でも様々な分野で大きな期待がある。空は無限大のように見えるが有限で、空を飛ぶためのルール作り、研究、実証が必要。ANAグループの経験をドローンの将来に向けて役立つようにしていきたい。ANAグループはエイチ・アイ・エスと宇宙ベンチャーへの資本提携を発表した。ドローンは地上から150メートル、宇宙は100キロより上。その間を我々の民間機が飛ぶ。空のいろんなビジネスを大きく広げていきたい。ANAグループ総力を挙げて頑張りたい。」と意欲を述べた。
あす12月19日には、熊本県防災消防航空隊、天草広域連合消防本部の協力のもと、ヘリコプター(有人機)とドローンの運用情報共有実験を行う。有人機とドローン、ドローン同士が安全な距離を保ち、共存できる環境を作ることは新たな課題としており、実機を用いて検証する。
実験では、崖から転落した人を救助する際に、ドローンがヘリコプターが来るまでに早期に遭難者を捜索して場所を特定、ヘリコプターの救助の補助をする。ヘリコプターとドローンの位置情報を用いて、両機の間隔は2キロ以上あけ、2キロ未満となった場合は手動で着陸させる。今後は自動で着陸させる機能の実装を検討する一方で、ヘリコプターの移動速度が早いため、2キロ以上の間隔をあける必要性は変わらない見込み。11月にはアメリカ航空宇宙局(NASA)が同様の実験を行っているものの、日本では初めて行われる。
日立造船と天草市、上天草市、熊本大学も、準天頂衛星システム「みちびき」による高精度測位技術を活用し、無人航空機による物資輸送事業の検討を行っている。実証実験では、江樋戸港から湯島までの航路長約8キロの飛行ルートを対象に無人航空機に自動飛行装置、通信装置、物資輸送ケース、安全装置を搭載して物資輸送を行うことを検討している。