元反対派も新滑走路建設推進派に、成田空港のこれからのゆくえ【チャーリィ古庄の航空時事評論】

ちなみに筆者は生まれも育ちも東京の下町だが、現在成田空港にほど近い騒音迷惑地域に居をかまえている。実際に住んでみると、都内の方が緊急車両のサイレンや車、鉄道など騒音は多く、空港周辺にいてもウルサイとは感じない。もちろん育った環境や騒音の感じ方は人それぞれなので、私個人の騒音の感じ方を他の住民に押し付ける気はないが、現在成田周辺は「空港の街」として発展を遂げているため、空港の発展そのものが地域の発展でもあり、新しい滑走路の離着陸経路にかかる住居の騒音対策などが行われれば運用時間の延長も充分あり得るだろう。

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実際朝6時~夜11時という運用時間の制限があるため、成田に本拠地を置くLCCは1便でも多く運航して便数あたりのコストを下げる事が求められているものの、整備などで少しでも遅延してしまうと夜11時までに成田に着陸できず、欠航や他空港への着陸を余儀なくされる場合が多く、利用者にとっても不便を強いられる。そのため成田を本拠地にするLCCの発展が妨げられているのはとても残念なことである。

NRTgraph

また、ある外資系航空会社の例を挙げると、成田を夜に出発するとアジアの国には時差の関係もあり、深夜に到着してしまう。これでは成田周辺住民の騒音は困るが、アジアの国の人の騒音はどうでも良いという理論になってしまう。それなら24時間運航が可能な羽田を使えば良いという理屈もあるが、成田は北米からのアジアへの乗り継ぎ空港という大切な側面もあり、羽田は発着枠が少ないためこの機能を全て担うことは不可能だ。そのため、いきなり成田の24時間運用は難しいとしても、運用時間が延長されれば航空会社はもとより利用者にとっても大きなメリットが生まれる。成田空港には建設反対の歴史があるが、今回は周辺市町だけでなく、元反対派の方々の多くも第3滑走路実現へ向けて協力体制をとっており、今でも一部に反対意見もあるが羽田の国際化の影響で成田国際空港会社と周辺市町も地域発展のために羽田に負けるなとばかりに動き出している。そしてある元反対派の方は「俺たちは反対していたら、どうやったら滑走路ができるかが分かっているんだよ、今は成田を盛り上がるために元反対派は推進派になっているんだよ」と言う。

こうして成田に第3滑走路が完成し東京オリンピック・パラリンピックが成功、そして将来さらなる訪日観光客増加により日本に来た外国人観光客にお金を使ってもらい、ホテルや土産店、バス会社などが潤うことで、日本が真の観光立国になれば国の発展にもつながるだろう。

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