エアアジア・ジャパン、「新会社設立記者発表会」全文書き起こし(4)

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7月1日に開催された、エアアジア・ジャパンの新会社設立発表記者発表会の全文書き起こしをお送りします。

同会見は、エアアジア・ジャパンの小田切義憲社長、エアアジアのトニー・フェルナンデスCEO、楽天の三木谷浩史会長がそれぞれ順番に登壇し、その後質疑応答、囲み取材が行われた。それぞれに分け、5回構成で配信する。(以下、敬称略、(3)から続く

ーエアアジア・ジャパンのパート1、パート2、具体的に何が違うか。一言で教えてください。(航空アナリスト・鳥海氏)

トニー「パート1とパート2の違いは人の違いとなる。私達が学んだのはこういうこととなる。つまり、同じような考え方を持った人とやっぱり一緒にやるべきだということなんとなる。3名の素晴らしい起業家が集まりました。私達のような会社は意思決定が非常に速いんとなる。例えば、記者会見も内容を私が全部変えてしまいました。12時間前のこととなる。そして、前回のパートナーであれば、多分こんなことは許されなかったでしょう。私達はお互いに話をして、別にこれが正しいとか間違っているという話ではなく、私達はそういう人間なんだということとなる。意思決定が短い時間でできる、いろいろなものを変えていきたい、あえて夢を持って行きたい、そして同じビションを持っている。そして彼ら自身が、自分たちで素晴らしいビジネスを作った人たちとなる。ですから、エアアジアはこういった起業家達の集まりでやったほうがうまくいくんだと思います、大企業とやるよりは。」

ー本社が一部報道で名古屋とありますが、首都圏空港への展開をどのように考えているのか。路線を主要都市を中心に考えるのか、地方路線の展開なども考えているのか。(航空アナリスト・鳥海氏)

トニー「空港についてどこにいくかというのは、まだ現在のところこれが正しいということはありませんが、東京はとても重要となる。日本政府がこれから先、LCCに関しても新しい空港、例えば、茨城とかそういうところを開放するという形で、日本政府が解決してくれればと思う。なぜならば、日本というのは大きなチャンスがある国であるからとなる。」

小田切「私どもは、最初にハブ空港を構える予定をしておりますが、その最終の段階にございる。その発表につきましては後日いたしたいと思う。先ほど名古屋というお話もございましたが、一時的に登記をする関係で名古屋のほうに登録をさせていただいているということでございますので、最終的なハブ空港、あるいは就航空港についてはもうしばらくしましたら、皆様にはご案内をさせていただきたいと考えております。

そして、私どもはやはり、東京以外で事業を展開をして参りますけれども、東京のマーケットの大きさ、あるいはインバウンドのお客様の利便を考えますと、東京というところは外せないというふうに考えております。

枠の問題、現在はまだスロットはございませんけれども、ぜひとも私達は羽田空港に入りたいと考えてございる。皆様もご案内の通り、すでに国土交通省では有識者会議をはじめまして、羽田の枠を拡大するという検討が具体的に進んでおります。2020年のオリンピックまでにということございますが、私どもとしては、少しでも早く、羽田の枠をあけていただきたいというふうに考えてございる。

もうひとつ、地方の空港でございますけれども、私ども、やはりまず事業を安定させるためには、いわゆる幹線を最初に就航する予定をしている。まずは幹線でしっかりとした収益構造、収益体制をつくりまして、その後はなかなか就航の便が少ない、各地方の空港、日本には100近くの空港がございますけれども、なかなか1日に3便とか、4便しかないような空港もございる。そういうところに隠れた可能性、潜在性があるというふうに思っていますので、私どもはそういうところにも就航して、最初のプレゼンでも少しお話しましたけれども、そこにある文化、あるいは歴史的な建造物等を楽しんでいただく。あるいは地方の名産品、特産品を味わっていただくというような機会を作っていただきたいと思っております。」

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ー楽天トラベルで、エアアジアの航空券を単体でも取り扱っていくのか。システムを連携していくのか。(航空アナリスト・鳥海氏)

三木谷「まず、楽天がエアアジア・ジャパンに出資した趣旨ということなんですけれども、LCC、物のインターネットThingsというふうに言われておりますけれども、まさしくLCCこそが、情報産業、情報技術が産んだ新しいビジネスなんではないかなと思っております。チケットの販売だけではなく、フライト時間内での様々なエンターテイメントであったり、既存の情報ネットワークでは、おそらく難しかった。スマートメーター、スマートウォッチ、いろんなものが出てきてますけれども、まさしくエアアジアの予約サービス、インフライトの中のサービスを含めて、我々がお手伝いできると考えておりますし、その一つとして、チケットの販売のお手伝いができると思っております。」

ー就航の時期と当初の機体の数、路線の数のイメージがありましたら。(朝日新聞)

小田切「今日発表させていただきまして、今後、正式に国土交通省、関係先と調整させていただきまして、現在のところは、1年後、来年の夏、いわゆるサマーダイヤの中での就航を考えてございる。

ならびに、私ども、来年の夏、まず最初に航空機を2機導入をいたします。これは、私ども各グループの航空会社は一緒でございますけれども、エアアジアグループから飛行機をリースいたしまして、就航させてまいりますが、すべて新造機で対応いたします。初便就航のタイミングで2機、それから時をあけずに3機体制、カレンダーイヤーで言いますと、2015年中にトータル4機を予定してございる。その後は、事業計画の概要をご説明しますと、だいたい1年間に5機づつ投入し、路線展開を図っていこうと考えている。」

ー日本の航空業界は空港の枠ですとか、非常に政府の規制が強いところですが、エアアジアとしてどのように挑んでいくのか。(朝日新聞)

トニー「まず、楽天さん、パートナーさんにも申し上げておきたいんですけれども、三木谷さんはこれまでいろんな事業に投資されてきました。Viber、Pinterest、Viki、すべて、エアアジアの中で使えるプロダクトを持っているわけとなる。非常に大きな相乗効果を見込めると思っております。

日本の枠の問題は東京に限定されていると思う。つまり、日本というのは東京が全てではないんですね。名古屋、大阪、神戸、他にもいろんなところ、すばらしいところがあります。日本で最初に三木谷さんにお会いしたのは神戸でした。

非常に大きなチャンスが東京以外にもあると思う。東京の中には、小田切社長からもありましたが、羽田がありますし、私の口からは茨城の話も出たと思う。いろんな提案、そして解決策がありうると思いますので、賢い方々が、この2人がきちんと当局の方々と相談していただくということと思う。

観光客がいくら来たいと思っても、着陸したい場所がないと問題になってしまうわけですから、そこは対応が必要だと思う。規制に関して言いますと、日本は劇的にオープンになってきていると思う。いろんなことをやりたいと思っているわけですけれども、現在、小田切社長が当局と話をしておりまして、日本も変わってきているという印象を受けておりますので、非常に高い期待を持っている。

我々のモデルを実行していきたいということ、そして何よりも、お値打ち価格を提供していきたいということとなる。エアアジアで一番大事なのはお値打ち価格となる。確かに、食べ物もおいしいですし、CAも機体もかっこいいですけれども、それが大事なのではなく、いかに価値を提供できるかということが大事だと思う。「Now Every One Can Fly」、誰もが飛べるようになるというテーマは大事だと思いますし、本当にお値打ちの価格を日本のみなさんにも提供したいと思っております。」

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ー(三木谷氏へ)出資比率を具体的に教えてください。(朝日新聞)

三木谷「昨年の年始から、競争力会議のメンバーとして、日本の経済をもう一回復活させるにはどうしたらいいのかということで、各役所、また、政府とも色々協議してきたのですけれども、その中で2020年のオリンピックに向けて、訪日外国人旅客数を増やすことに対して、かなりの本気度を感じておりますし、2020年までに東京にフリーWi-Fiを引こうという、私どもの意見も実現すべく動いているという中、ビジット・ジャパンの政府の中では、やはりどうやって増やしていくかという本気度が今までと違うのではないかと思っている。そういう中で、航空行政も大きなテーマであるという認識が、今までと違うレベルにあるのではないかなと感じておりまして、非常に前向きな姿勢を私個人として感じておりますし、大変期待をしております。楽天の出資比率は18%ということで、出資をさせていただこうと思っております。」

トニー「一言よろしいでしょうか、『眠眠打破』を飲んだということもありまして、ものすごくエネルギーを感じている。小田切社長には、ぜひ6月よりも前に就航して欲しいという思いが強くなっている。」

ートニーさんとの関係は3年間の中でどういうきっかけがあって今回、こういうことをやろうと思ったのか。(東洋経済)

三木谷「トニーとの個人的な友人関係は非常に強いものがあるんですけれども、それ以上に、先ほどトニーのほうから説明がありましたように、エアアジア・ジャパンだけではなく、エアアジアグループと楽天グループの補完関係、シナジーは非常に大きいというところが、一番大きなところであると最初に強調させていただきたいと思う。

その上で、彼とは本当にマレーシアから始まりまして、アジア全般に向けてLCC、世界で最も高い評価を受けているLCCをこれだけのスピードで作ってきたということで、アントレプレナーとして尊敬しておりますし、我々楽天もグローバライゼーションを進めておりますけれども、まさしくパンアジアで、グローバライゼーション、アジアライゼーションを進めているという点でもリスペクトしております。」

ーパイロット不足ということで、ピーチやバニラエアで欠航がありましたが、パイロット、スタッフをどう確保していくのか。(東洋経済)

小田切「昨今他社でも話題になっておりますように、国内で日本人のパイロットを確保するということは非常に大きな課題になってございる。わたくしどもにも影響してくる課題だと認識しております。これから1年の中で準備して参るわけでございますけれども、まずは、日本にいるA320の型式ライセンスを持たれている方、あるいは他社で他の型式の航空機に乗られている方、そういう方を中心にリクルート、雇用のお話をしていこうと思っておりますが、当然それだけでは機材計画には追いつきませんので、私どもは事業展開と平行しまして、操縦士の養成というところにも取り組んで参ります。

日本人の操縦士が足りないというのは国の課題でございますので、これも合わせて国土交通省で有識者会議等を開いて加速していただいているところですが、そこと連携をしまして、私どものパイロットも充分な数を確保できるような仕組みというのを作っていくことを考えている。

一方で、一時的に日本人のパイロットだけでは充分に対応できないということも考えられますが、先ほど申し上げましたように、私ども6つのグループ会社がございますので、グループの中でのパイロットのやりくりについても合わせて検討しているというところでございる。同じA320という飛行機を飛ばしているグループですございますので、そこの中で一部流動をするというのも含めて検討しております。」

トニー「パイロットの話ですが、私は2機でこれを始めたんですけれども、165機あります。そして、20人のパイロットから2000人ということになっている。しかし、もちろん努力がありました。7機の後、私達の投資を全部込めて、そしてパイロットの養成所を作りました。正しい人材育成ができなければダメだと思ったからとなる。そういった意味では、私はパイロットの欠員に関してはそんなに心配していません。日本には才能がある人達がたくさんいますし、パイロットになりたい人もいるわけとなる。私が東京にいたとき、多くの人が私にEメールで私はパイロットになりたいと言ってきた人がたくさんいたわけとなる。どちらにしても、小田切さんがおっしゃったように、短期的な問題に関してはソリューションがあると思う。」

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ーここまで日本にこだわる理由を、最初にご説明があったと思いますけれども、もう少しわかりやすく、詳しく教えてください。(東洋経済)

トニー「日本は素晴らしい国であるからとなる。私が生まれて育った時は、すべて日本製でした。日本の車、日本のラジオ、ウルトラマンも見ました。すべてが日本製だったんとなる。だから私は日本が大好きです、素晴らしい国だと思っている。もっと多くの人達に日本に来て欲しい。そして日本の人達にも、私達の国とか、他の国を見て欲しい。ただ単に大都市だけではなくて、エアアジアの場合には東南アジアのすべての都市に行っている。これは私の夢でもあるんとなる。私の人生というのは常に夢です、私は夢を持っていて、野望を持っていて、決して諦めない。そして、あえて夢を持って、Noということを私は受け入れないわけとなる。素晴らしいパートナーを今回、得ることが出来ました。

エアアジアが世界中、日本からアジア中に飛ぶということがこれから始まるというのは、本当にエキサイティング。決して簡単なことではないのは自覚しております。金曜日に日本に来ました。そして、週末は東京のいろんなところに行ってきました。朝の4時までいろんな人と飲みながら、太陽が昇るのを見ながら、新宿に行ったり、色んな所に行ってきました。素晴らしい国です、多くの人に見てもらいたいと思っている。私の夢となる。私は夢を生きているし、それを目的にしている。やってみなければわかりません。私はやってみて失敗してもやらないよりいいと思っている。エアアジア・ジャパンは、でも今度はパート3はないということを申し上げておきます。」

三木谷「トニーが言ったように、私もアジア各国をまわっているんですけれども、クールジャパン、ビジット・ジャパンと言われていますが、本当の意味で、日本は観光資源がアジア1豊富な国だと思うんですね。日本食だけではなく、街の光景、それから名所を含めて、四季もありますし、安全だし。これは2,000万人といわず、3,000万人、4,000万人、5,000万人というふうに増やせる可能性があるんだと思うんですね。その中でクールジャパンの目標も達成できるでしょう。そういう意味においては、エアラインが安く日本にいろんなアジアの方に来ていただくというのは、極めて重要なポイントであって、そういう意味もあって、楽天はエアアジア・ジャパンというプロジェクトに参加させていただきました。」

ー三木谷さんとの関係は友達のままがいいと春におっしゃっていましたが、ビジネスパートナーに選んだ理由は。(AviationWire)

トニー「決して変わったわけではありません。3ヶ月前の段階で、パートナーになりますよということを言ったとすると、日本のプレスの方は効率が良いので、それが漏れてしまっては困るということで。もう昔からやりたいと思っていたわけとなる。嘘をつかざるを得なかったということとなる。3ヶ月前と状況は変わっておりません。嘘を付いて申し訳ありませんでしたけれども、その時には申し上げる訳にはいかなかったんとなる。」

ー羽田就航は来年の夏からということでお考えなのか、それとも段階を踏んで、機を熟した段階で狙っているのか。(AviationWire)

小田切「初便を就航するタイミングで、もちろんスロットが確保できれば入りたいと思ってございますけれども、現実的には厳しいと思う。ですので段階を踏みまして、当局との調整を経まして、私どもの枠が取れ次第就航することで考えてございる。しかしながら、羽田に入る、東京に入るということは非常に大きな事ですので、国土交通省と連携をとりながら、チャンスを狙って行きたいというふうに考えております。」

ー楽天のビジネスにおいて、今回の提携は具体的にどういうシナジー効果が出てくるのか。(AviationWire)

三木谷「エアラインというのは、トニーといろいろ話をしてだんだんわかってきたんですけれども、単純に人をA地点からB地点に動かすというだけではなくて、インフライトのエンターテイメントであったり、おみやげを通じたショッピングであったり、ペイメントであったり、いろんな意味で、ITとのシナジーが非常に高いということ。楽天も、トニーから説明もありましたが、楽天トラベル、電子書籍の楽天Koboを、例えばエアアジアのフライトで使っていただくとか、また、いろんなペイメントのお手伝いもできるでしょうし、それから将来的にはeコマースでの提携というような可能性も。本当に無限の可能性があるかなと思っております。そういう意味ではインターネット企業として、エアラインに出資したのは、おそらく世界で楽天が初めてだと思うんですね。Googleさんが自動運転の車を開発したり、みなさんロボットをやったりということなんですけれども、非常に長い時間空港の中ににいるという意味においては、ITを使った様々なサービスを展開できるのではないかなとで、共同して開発していきたいと思っております。」

小田切「一つだけ補足させてください。リアルで航空会社を運営する中で、今お話になったような、インターネットを通じて色んな物をあわせて販売するということも、大きな課題だと思っております。具体的んは付帯事業を積極的に進めて参りたいと。これはどこの他社にも負けない、例えば機内での販売ですとか、国際線における免税品の販売、これについては力を入れていきたいというふうに思っている。機内販売では機内での直接販売のみならず、インターネットを通じて事前事後に商品を引き取る形のやり方も新たに新たに取り組んでいきたいと思っておりますし、まさにそれを売るのはキャビンクルーですので、その者達がしっかりと働けるようないい環境を作っていきたいと思っている。私どものもう一つの会社のポリシーとしまして、CS(カスタマーサティスファクション)を高めるためには、ES(エンプロイサティスファクション)を高めるとトニーが言っている。まさに従業員が楽しく働ける会社。私ども航空会社、運輸業ですけれども、同時にピープルビジネスと考えております。」(続く)

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