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【乗車レポート】「復興いわきフラガール号」に乗ってみた~常磐線新型特急E657系プレデビューの一日~
2012年3月3日(土)に、同17日(土)のJRグループのダイヤ改正でデビューする常磐線新型特急「E657系」のプレデビューとも言える臨時列車「復興いわきフラガール号」が常磐線の上野~いわき間の往復で運転された。
列車には新型車両の乗り心地をいち早く堪能しようと、鉄道ファンや地元住民らが乗車した。今回はこの「復興いわきフラガール号」に乗車した感想をレポートしたい。
E657系って?
今回デビューするE657系(写真左)。フレッシュひたちで運用中のE653系の投入が1997年だったため、約15年ぶりの新型車両の投入となる。
主にスーパーひたちで運用中の651系(写真右)とE653系は、ダイヤ改正時から4割がE657系に置き換えられ、今後順次E657系へと置き換えが進む予定だ。
651系車両は、1988年から導入されており、車両が老朽化していた。
いざ、出発駅へ
午前8時、上野駅の地下15番線ホームには真新しい車両が停車していた。
白いボディーに薄赤色のラインが客室窓の下部にひかれているこの車両が、17日のダイヤ改正で常磐線の特急「スーパーひたち」「フレッシュひたち」の一部列車に投入されるE657系である。この日利用された編成は「K-1」編成で、昨年5月に製造されたトップ編成だった。
見づらいが、行き先表示は「臨時 指定席 いわき」。近年の新車では主流となったフルカラーLEDが採用されている。
車内の様子は
今回は往復ともに普通席の乗車だったので普通席の様子を主にお伝えしたい。
黒ベースのシートが並ぶ普通席のシート(写真上)は、従来の651系やE653系と比較してやや大きめの印象を受ける。実際に着席してみると、「硬すぎないが、やや硬め」の印象を受けた。
シートには可動式の枕が付いていて、それぞれの体の大きさや好みの位置に応じて変えることができるのは良い点だ。
逆にE653系など、数年前までのJR東日本の新型特急・新幹線車両にあった、座面スライド機能はなくなっていたが、座面が大きいためだろうか、あまり必要性自体感じなかったので良しとしたい。
シートピッチは651系より狭く、E653系よりは広い、というのが公式発表であるが、実際に座ってみると651系とほぼ変わらない印象を受けた。しかし、651系より狭いとは言え、足元のヒーター機器設置スペースが移設され、広々としたスペースが座席下に展開されているため、窮屈感は感じない。
リクライニング(写真上)に関しても、651系よりは浅く、E653系より深くといった感じだった。
そのほか、座席にはコンセントが設置されており、ビジネス客を取り込もうとしている姿勢が伺えた。車内は明るいイメージの白色間接照明だったが、各座席の読書灯は省略されており、局所的に手元を照らす際に暗く感じることもあるかもしれない。
そうこうしているうちに、8時18分、列車は上野駅を発つ。
車両中心部の乗車ということもあるだろうが、従来の特急車よりも揺れは少なく快適な乗り心地である。
臨時列車ということもあり、ゆっくり走ったり、飛ばしたりを繰り返すが、途中駅で快速列車を追い抜くなど、特急らしい走りをみせてくれた。この日は天気にも恵まれ、沿線には新型車両を撮影しようと集まった鉄道ファンの姿もちらほらと見られた。
途中、柏・土浦・水戸・勝田・泉・湯本に停車したが、水戸までの各駅でもそれなりの乗車があり、鉄道ファンのみならず、地元住民らからも新型車両に対する期待と関心が集まっている様子が伺えた。
途中、勝田~泉間を走行中、茨城・福島県境前には乗車記念のトレーティングカードが配布された。このカードは4枚1組となっており、表面が国鉄時代のひたち号に利用されてきた車両の写真で、裏面がE657系が4分割されている写真となっていた。
4列シートのグリーン車は
さて、終点を手前にして5号車のグリーン車を少しばかり拝見させていただいた。
3列だった651系のグリーン車と異なり、4列となりグレードとしてはダウンしてしまったグリーン車だったが、聞くところによると見た目より座り心地は意外と良いそう。JR東日本の新系列E257系などよりワンランク上との声が聞かれた。
いわき駅に到着すると
10時54分。列車はいわき駅に到着した。
改札コンコースでは、フラガールや観光大使が乗客ひとりひとりにレイをかけて出迎えていた。
乗客を出迎えるフラガールら。「がんばっぺいわき」ロゴの入ったジャンパーを着てのお出迎えだ。
到着に合わせて太鼓の演奏も行われた。
3.11から約1年後にデビューすることとなった、E657系。福島・茨城両県を中心とした常磐線沿線の観光客は、未だに震災前の水準には及ばないという。新型車両の導入で、沿線の復興に弾みがつくことを願ってやまない。
(寄稿レポート/T.Tさま)