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東海道新幹線の品川駅改札内にある鉄道グッズ専門店「BLUE BULLET」が、10月31日で閉店する。
「僕の使命は、鉄道を好きな人を増やすことなんです」。そう語るのは、開業時から店長を務めるJR東海リテイリング・プラスの大野聡司さんだ。鉄道好きならではの視点で商品を選び、客との交流を大切にしながら育ててきた店は、開業から約1年半で幕を下ろす。「終わっちゃうのか」。閉店が決まった時、大野さんは寂しさを感じたという。
BLUE BULLETは、JR東海リテイリング・プラス初の常設鉄道グッズ専門店として、2025年4月16日にオープンした。JR各社や私鉄のオリジナルグッズをはじめ、店舗限定のオリジナル商品を取り扱うほか、店内には0系新幹線の最終運行日に取り付けられていた連結器カバーや行先表示板、ヘッドマークなどを展示。東海道新幹線に乗務するパーサーが接客を担当するのも、この店ならではの特徴だ。
大野さんは、祖父がSL、父親が国鉄型車両を好む鉄道好きの家庭で育った。幼い頃から鉄道に親しみ、大学時代には教員を志したこともあったが、「一生かけてやれるものはどちらか」と考え、鉄道に関わる仕事を選んだ。2016年に当時のジェイアール東海パッセンジャーズに入社し、弁当工場での生産管理や列車営業所での勤務などを経て、本社で営業推進業務を担当。2022年には東海道・山陽新幹線「のぞみ」の運行開始30周年を記念したグッズの開発に携わり、その後も東海道新幹線の記念商品などを手掛けてきた。
こうした経験を経て、BLUE BULLETの店長を任されることになった大野さん。開業にあたって目指したのは、鉄道ファン以外も気軽に立ち寄れる店だった。「ターゲットを鉄道ファンだけに絞ると範囲が狭くなってしまう」。自身が足繁く通っていた鉄道グッズ専門店の良いところを取り入れつつ、旅行客も楽しめる店を意識した。店頭にはキャラクター商品やかわいらしい雑貨もそろえ、女性客や親子連れも入りやすい売り場づくりを心掛けたという。
商品選びと同じくらい大切にしてきたのが、店を訪れる人とのコミュニケーションだ。新幹線パーサーによる接客も開業当初からの構想で、「接客のプロである彼女たちと、販売や商品面のプロである僕がミックスして、この店は成り立っているんです」と話す。自身も積極的に店頭に立ち、利用客と会話を交わす。店の雰囲気を褒められることも多かったといい、「ただグッズを売るだけではなく、人間的な触れ合いがちゃんとできたのがすごく良かった」と振り返る。
そんな大野さんの店づくりを支えてきたのが、新幹線パーサーたちの存在だ。開業時から勤務する枝廣さんは、「店長は使命感を持ってやっているし、好きな商品を扱っていることもあって、かなりこだわりが強くて(笑)」と振り返る。開業当初は商品の陳列方法にも大野さんなりの考えがあったが、日々の業務を通じてパーサーたちの意見も積極的に取り入れるようになったという。「今は本当に好きにディスプレイしていいという形になって、チーム感が増したと思います」。互いの得意分野を生かしながら、約1年半をかけて店づくりを進めてきた。
2025年6月から勤務する伊藤さんも、新幹線車内での接客・販売経験を生かし、明るい店づくりに取り組んできた。開業当初は店舗の認知度が低く、店頭で呼び込みを行うこともあったと振り返る。店舗ではグッズの問い合わせだけでなく、駅の設備や乗り換えについて尋ねられることも多く、車内とは異なる接客の機会があった。2人とも店舗での仕事を楽しんできただけに、閉店には寂しさを隠せない。
大野さんにも、まだ実現したい構想があった。現在も各地の鉄道会社の商品を扱っているが、東海道新幹線の利用客が東京や新大阪からさらに別の路線へ乗り継いでいくことを踏まえ、その先の鉄道会社の商品も充実させたいと考えていた。「いろんなやりたいことがまだまだあった」と、名残惜しそうに話す。
閉店まで残りわずかとなったが、大野さんの接客への思いは変わらない。「最後までおもてなしの心は忘れずに、いつも通り最高の接客でお迎えをして、お客様には笑顔で帰っていただけるように」。最終日まで、普段と変わらず利用客を迎えるつもりだ。