ハワイアン航空、JALとの提携で利用者や収益増加強調 東京/成田〜ホノルル線は羽田に移管せず

ハワイアン航空は5月30日、東京都内で記者説明会を開き、日本市場の現状について説明した。

ハワイアン航空は1929年に設立、2010年に東京/羽田〜ホノルル線を開設し、2011年に大阪/関西〜ホノルル線、2012年に札幌/千歳〜ホノルル線、2016年に東京/成田〜ホノルル線、2016年に東京/羽田〜コナ線を開設した。全体の有効座席マイルのうち、23%を日本市場が占めており、9都市10空港へ路線を展開している国際線では同56%を占めている。

大型機は日本市場をターゲットとした客室構成としたほか、プレミアム・エコノミークラス「エクストラ・コンフォート」の販売数は前年比で倍増、空席時の入札アップグレード「ビット・アッププログラム」では、直近4ヶ月で入札数の6割程度が落札に成功するなど、客単価の向上にも寄与している。日本線の提供座席数のシェアは徐々に拡大しており、2019年には日本航空(JAL)に次いで2位にまで上昇してる。

ANAのエアバスA380型機投入、「競争は常にある」

全日本空輸(ANA)が東京/成田〜ホノルル線に5月24日より投入したエアバスA380型機について、テオ・パナジオトゥリアスグローバルセールス&アライアンス上級副社長は、「エアバスA380型機は新しい競争相手だが、競争は常にある。私達のビジネスに結果はついてきている。」と、自社のサービスと今後の戦略に自信を示した。

例えば、2012年に就航した福岡〜ホノルル線は、デルタ航空との競争の結果、2014年に運航を停止している。デルタ航空は、福岡〜ホノルル線から5月8日に撤退し、福岡とホノルルを結ぶ路線はなくなったものの、九州各地からの需要が高いことから、ハワイアン航空は復活を決めた。

羽田空港発着枠、追加求めず

ハワイアン航空

5月16日に、アメリカ運輸省から羽田空港の新たな発着枠のうち、希望していた東京/羽田〜ホノルル線の1日3便の中、1日1便の承認を受けた。このまま確定した場合、夕方に羽田空港に到着し、西日本26都市への乗り継ぎが可能となることから、高い利便性を提供できるとした。福岡〜ホノルル線も今秋に就航する見通しで、6月には発着枠の割当が行われる見通し。

1便のみの割当に「大きな失望を覚えた(パナジオトゥリアス上級副社長)」としながらも、「1つもらえるのは本当に素晴らしいこと。3つの発着枠を持つことで、ハワイ・ホノルルへ最大のキャリアになる。(同)」とした。アメリカ運輸省に対して、意見は申し立てたものの、追加枠の要求は行わなかった。

東京/成田〜ホノルル線の運航は継続し、東京/羽田〜ホノルル線は純増となる計画。2020年3月もしくは4月にも運航を開始できる可能性が高いという。苦戦が続く、東京/羽田〜コナ線の運航も継続し、東京/成田〜コナ線への移管は行わないという。

JALは最適なパートナー、業績拡大強調

ハワイアン航空は、JALとの共同運航(コードシェア)を2018年3月に開始。これにより、収益は25倍から30倍程度、JAL運航便をハワイアン航空便名で利用した人とハワイアン航空運航便をJAL便名で利用した人は8倍から10倍に拡大したという。

パナジオトゥリアス上級副社長は、「JALは価値のあるパートナー。日本のあらゆる都市をカバーし、JALと協力し乗り継ぎでの利便性を増していきたいと考えている。」とした上で、ANAと比較して良い成果が出た理由として、「(JALと)緊密な体制で仕事をしてきたというのが一つある。エアバスA380型機やユナイテッド航空との連携など、ANAの戦略が変わってきた。私達とJALはJALにとって唯一のパートナーで補完関係にある。ANAとのパートナー関係は、利害関係の衝突があったが、JALとの間はない。」と理由を説明した。

両社は共同事業の展開にあたり、独占禁止法適用除外を日本とアメリカの当局に2018年6月に申請しており、アメリカ運輸省では10月にも判断する見通し。2020年2月にも共同事業の開始を目指す。