「戦友のような機体だった」 JALの777-300ER、元JA732Jが売却先へ

日本航空(JAL)が運航していたボーイング777-300ERの4機目の退役機(機体記号:JA732J)が3月4日未明、羽田空港を出発し、売却先の米国・ツーソン空港に向かった。フェリーフライトは、JAL格納庫前の214番スポットを午前0時15分に出発し、同31分にC滑走路から離陸した。

JALは長距離国際線の主力機として、2004年から2009年にかけて777-300ERを13機導入。後継となるエアバスA350-1000型機の導入に伴って段階的に退役を進めており、2024年8月20日に1機目(機体記号:JA734J)、2025年5月27日に2機目(同:JA731J)、同年9月9日に3機目(同:JA735J)を退役させた。

JAL ONE WORLD ワンワールド JA732J

退役4機目となったJA732Jは、777-300ERの開発当時にボーイングの試験用として製造された機体の初号機(機体記号:N5017V)で、各種試験を行ったのち2004年7月1日にJALへ引き渡された。

初フライトは同年7月10日の東京/成田発北京行きJL781便で、ラストフライトは2025年11月20日のシドニー発東京/羽田行きJL52便だった。 JAL機としての約21年間のフライトサイクルは11,358サイクル、飛行時間は89,860時間39分に達した。

JA732J

▲羽田に到着したJA732JのラストフライトJL52便(2025年11月20日)

退役時の客室仕様は、ファーストクラス「JAL SUITE」が「1-2-1」配列で8席、ビジネスクラスの「JAL SKY SUITE」が「2-3-2」配列で49席、プレミアムエコノミークラスの「JAL SKY PREMIUM」が「2-3-2」配列で40席、エコノミークラスの「JAL SKY WIDER」が「3-3-3」配列で147席の計244席。機体にはJALが所属する航空連合・ワンワールドの塗装をまとっていた。

運航終了後の退役整備では、鶴丸ロゴなどJAL機としての塗装が落とした白塗り姿となり、機体記号は米国籍を示す「N3243D」に変更された。

機体の売却手続きを担当したのは、JALの航空機材・整備調達部整備グループの沓澤拓也さん。これまでにJA731J、JA734J、JA735Jの売却にも携わった。JA732Jについては、手続きにこれまでと大きな違いはなかったとしつつ、「社員にとって戦友のような立ち位置の機体だった」と振り返る。ボーイングの試験機でもあったことから、当時導入に携わった社員は1泊3日でシアトルへ弾丸出張に行ったりと、社内には思い入れがある人が多いという。

▲売却先手続きを担当したJAL 航空機材・整備調達部整備グループ 沓澤拓也さん(右)、フェリーフライトの手配・調整を担当したJALビジネスアビエーション 空港事業部 土屋峻彦さん(中央)、同 今村沙也加さん(左)

降りしきる雨の中でフェリーフライトを見送った沓澤さんは、「お客様やファンの皆さま、社員の思いや記憶が詰まった機体がまた日本の空から1機なくなってしまうのは寂しいが、先輩方が築き上げた誇りや品質を次のステージにつなぐバトン渡しができたのではないか」と語った。

JALは中長距離国際線線用の更新機材として、777-300ERと同数となる13機のA350-1000型機を発注している。このうち初号機(機体記号:JA01WJ)から11号機(同:JA11WJ)までの計11機が受領済みで、東京/羽田〜ニューヨーク・ダラス・ロンドン・パリ・ロサンゼルス線に投入している。