JTB、2035年度に営業利益5倍へ 10年後見据え長期ビジョン策定

JTB(ジェイティービー)は1月15日、2035年を見据えた長期ビジョン「OPEN FRONTIER 2035」を発表した。「グローバル」「ビジネスモデル」「情報・データ」「カルチャー」の4テーマを軸に変革を進め、「交流」を通じた新たな価値創造をめざす。

都内で開いた発表会で山北栄二郎社長は、環境変動や人口構造の変化、生成AIの発展といった環境変化により、2035年には「交流」が社会的価値を生み出すうえで重要な役割を担うと指摘。ビジョンテーマに「交流創造インテリジェンス」を掲げ、「高い専門性と洞察力で世界をつなぎ、つくり、つなげ、感動と幸せで人々を満たす“新”交流時代のフロンティア企業」を2035年の「ありたい姿」と定義した。

グローバル戦略では、事業ポートフォリオにおいてグローバルビジネス比率を2024年の14%から50%に引き上げる。2025年8月には、旅行業界向けメディアの世界最大手である米・Northstar Travel Groupを買収。同社のグローバルネットワークやマーケティングソリューション、AIの知見などを活用して、デジタル商品の拡充と顧客向けサービス・ソリューションの強化を図る方針を示している。

ビジネスモデル面では、コンテンツや不動産への投資を通じて、ストック型ビジネス比率を2024年の11%から30%に高める。従来のフロー型ビジネスを基盤としながら、収益獲得モデルを「フロー+ストック型」に転換する。1月14日には、原宿を拠点に日本の「KAWAII」カルチャーを発信するアソビシステムとの合弁会社・アソビJTBの設立を発表。訪日客向けの飲食事業やイベントを展開し、エンタテインメントやコンテンツ分野で海外市場を開拓する方針だ。

また、情報・データ戦略について山北社長は「AIなしには語れない」と述べ、AIを使った情報基盤に約2,000万人のJTBトラベルメンバー会員データを組み合わせ、顧客インサイトの分析に活かす考えを示した。

カルチャー面では、DEIB(Diversity/多様性、Equity/公平性、Inclusion/包括性、Belonging/帰属意識)を推進する。社会人・大学生対象の「未来観光塾」、中高生向けの社会体験学習プラットホーム「PMYアカデミー」、旅館・ホテル関係者向けの「旅館経営人財育成アカデミー」などのプログラムを通じ、旅行業界を支える人材育成を推進する。

このほか山北社長は、事業戦略区分の拡大について説明。従来の個人市場向けの「グローバルツーリストソリューション」、法人市場向けの「グローバルビジネスソリューション」、行政・DMO・観光事業者向けの「グローバルエリアソリューション」に加え、ツーリズム産業関係者全体を対象とした「グローバルツーリズムインテリジェンス」を新設。NorthstarとJTB総研を中核に、メディアやイベントを通じてマーケティングソリューションを提供し、産業全体の付加価値向上を支援する。

これらの変革を通じて、2035年度は取扱額2兆5,000億円(2024年度実績・1兆6,838億円)、売上総利益5,000億円(同・2,937億円)、営業利益750億円(同・149億円)をめざす。