ジェットスター・アジア航空、事業を終了

ジェットスター・アジア航空

カンタスグループとウェストブルック・インベスターズは、ジェットスター・アジア航空の事業を、7月31日をもって終了することを決定した。

サプライヤーからの調達コスト、空港使用料、運航コストが最大200%高騰したことに加え、東南アジア内の提供座席数の拡大や競争激化により、事業環境がより一層厳しさを増しており、今後もコストの上昇が続く見通しであることから、事業の継続は不可能であるとしている。今期の財務・法人所得税前利益(EBIT)は3,500万シンガポールドルの損失を計上する見通しで、カンタスグループ内のより好調な主要市場と比べて収益性を維持する能力が根本的に損なわれているという。

運航停止に先立ち、段階的に運航規模を縮小する。運航終了以後のフライトの予約客には払い戻しを行う。一部の路線では空席状況に応じ、カンタスグループの代替便を用意する。シンガポール在住のClub Jetstar会員の年会費は返金する。

500名以上の従業員にはカンタスグループやシンガポールの他の航空会社などで可能な限り雇用機会を提供する。保有するエアバスA320型機13機をカンタスグループの各社に段階的に再配備し、リース機材の置き換えや機材更新など、オーストラリア、ニュージーランドの事業に充てる。オーストラリアのジェットスター航空と日本のジェットスター・ジャパンは影響を受けない。

ジェットスター・アジア航空は、2003年にカンタス航空の子会社として、シンガポールの投資会社のや実業家とともに設立。2005年にバリューエアと統合した。現在はシンガポール・チャンギ国際空港を拠点に、短距離国際線16路線を運航している。

ジェットスター・グループのステファニー・タリー最高経営責任者(CEO)は、「20年以上にわたって当社を支えてくださった献身的なお客様を支援し、ご旅行への影響を最小限に抑え、円滑な事業縮小を実現することに全力を尽くします」とコメントした。

カンタスグループは、歴史的な機材更新プログラムを支援する戦略的再編であり、最大5億豪ドル相当の機材資本を中核市場に再投資できることにより、収益の向上が実現できるとしている。人員削減や再編費用などに伴う財務に対する影響は1億7,500万豪ドルで、約3分の1を今期、残りを来期に計上する。