
ドクターイエローT3編成、リニア・鉄道館での展示終了 ファンが「人力」で搬出作業
名古屋市のリニア・鉄道館で6月4日、923形ドクターイエローT4編成の展示開始に伴い、5月26日に展示を終了した922形ドクターイエローT3編成を搬出するイベントが開かれた。
T3編成は現在活躍中のドクターイエロー(T5編成)の先代にあたる車両で、国鉄時代の1979年に製造。JR発足後はJR西日本に所属し、2005年まで東海道・山陽新幹線を走った。引退後はJR東海に貸し出され、2011年3月のリニア・鉄道館開館時から展示されていたが、1月末に引退したT4編成が6月14日から同館で展示されることが決まり、入れ替わる形で5月26日をもって展示を終了した。
イベントには抽選で選ばれた鉄道ファンや家族連れなど32組37名が参加。T3編成の前で記念撮影をしたり、普段は入れない100系新幹線の食堂車でランチを楽しんだりしたあと、スタッフとともに搬出作業を体験した。参加者が車両の側面に手を添えて搬出口の方に向かって体重をかけて押し出すと、約59トンの車両がゆっくりと動き出した。
その後、JR東海からJR西日本への車両の引き継ぎ式が行われ、リニア・鉄道館の岡部仁館長が、JR西日本コーポレートコミュニケーション部 鉄道文化推進室の青木豊太室長にブレーキ弁を模したパネルを手渡した。
岡部館長は「たくさんのお客様に愛された思い出深い車両。14年にわたって当館に彩りを加えていただいた」と挨拶し、「T3、ありがとう」と声をかけて別れを告げた。
T3編成は6月頃から石川県白山市のトレインパーク白山に場所を移して展示されることが決まっている。青木室長は「これからはJR西日本が責任を持って保存展示する。T3編成が名古屋にいなくなって寂しいと思うが、そんなに遠くないのでT3編成に会いに来てほしい」と参加者に呼びかけた。
リニア・鉄道館では今後、6月7日にT4編成の搬入イベントを行い、14日から一般公開を始める予定。