渋谷駅周辺の歩行者動線、2030年度に整備完了へ 大規模再開発、全体完成は2034年度目指す

渋谷

東急は6月3日、「渋谷のこれからのまちづくり」に関する発表会を都内で開いた。

東急は2002年に東横線の地下化が決定したのを契機に、渋谷駅周辺の大規模再開発をスタート。「100年に一度の再開発」と位置づけ、2012年開業の渋谷ヒカリエを皮切りに、11の開発プロジェクトを進めてきた。2024年7月8日には渋谷アクシュ、同年7月25日にはShibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ)を全面開業させ、現在はJR東日本や東京メトロとの大型共同プロジェクト「渋谷駅街区計画」が進行中だ。

これは2019年に東棟が開業した渋谷スクランブルスクエアを核とするもので、同施設の第二期として地上10階、地下2階、高さ約61メートルの中央棟と、地上13階、地下4階、高さ約76メートルの西棟を建設する。中央棟の10階屋上には、各国大使館などと連携した文化交流体験施設を整備。商業施設は、東棟とあわせて1フロアあたりの売場面積が最大約6,000平米となり、首都圏最大級だ。

▲渋谷スクランブルスクエア スクランブル交差点からの視点(提供:渋谷駅街区共同ビル事業者)

西棟の北西面には、渋谷駅のJR線・銀座線3階改札と渋谷中央街方面、桜丘方面をつなぐ約3,000平米のペデストリアンデッキを整備。さらに、ペデストリアンデッキと宮益坂方面を結ぶ自由通路を開通させ、中央棟にも接続させる。この通路は銀座線ホームの直上に位置し、駅東口エリアや新宿・恵比寿方面を見渡すことができるという。また、JRハチ公改札前には最大幅員22メートルの、JR南改札前には最大幅員23メートルの東西自由通路を整備。地上レベルでも宮益坂方面、道玄坂方面へのアクセス性向上が期待される。

中央棟と西棟の竣工は2031年度を予定しているが、駅周辺の歩行者ネットワークはそれに先立つ2030年度に完成する計画だ。このほか2034年度までには、ハチ公広場、東口地上広場、中央棟4階広場(仮称)、西口3階上空施設(仮称)、中央棟10階広場(仮称)の計約2万平米に及ぶの5つの広場が整備される。

▲渋谷スクランブルスクエア 宮益坂交差点方面からの視点(提供:渋谷駅街区共同ビル事業者)

渋谷駅は長年にわたる改良工事の中で、通路や改札、階段などの移設が繰り返されてきたが、駅周辺の歩行者ネットワークもようやく概成を迎えることになる。

発表会では、東急 都市開発本部 渋谷開発事業部 開発推進グループの田邊秀治統括部長が事業の概要を説明。「渋谷スクランブルスクエアを含む駅前再開発は、安全で快適な歩行者空間の確保や、錯綜する動線といった駅の課題を解決するだけでなく、世界に誇る国際都市を目指し、唯一無二の景色、体験を提供するプロジェクトになる」と自信を示した。

東急 都市開発本部 渋谷開発事業部 開発推進グループ 田邊秀治 統括部長

▲東急 都市開発本部 渋谷開発事業部 開発推進グループ 田邊秀治 統括部長

東急ではこのほか、「Shibuya Upper West Project(渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト)」、「宮益坂地区第一種市街地再開発事業」の2つの計画も進めている。

渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクトは、2023年に閉館した東急百貨店本店の跡地に建設する、地上34階、地下4階、高さ155.7メートルの複合施設を核とした事業。既存のBunkamuraから「ザ・ミュージアム」が拡大移転するほか、中層階にはコンテンポラリーラグジュアリーホテルブランドの「The House Collective(ザ・ハウス・コレクティブ) 」が日本初進出する。

宮益坂地区第一種市街地再開発事業は、宮益坂下交差点の北東側に建設する地上33階、地下3階、高さ180メートルの複合ビルを核としたプロジェクトで、2031年の竣工を目指す。東京圏国家戦略特別区域の特定事業として、MICE対応の大規模ホール・カンファレンスや国際水準の宿泊滞在施設を整備し、東京の代表的なビジネス・交流拠点を目指す。東側では渋谷宮益御嶽神社を建て替えて再整備するほか、宮益坂の向かい側に地上7階、地下2階の商業施設を建設する。

渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクトは2029年度、宮益坂地区第一種市街地再開発事業は2031年度の竣工を予定している。

▲渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト (Image by Mir, Copyright Snøhetta and NIKKEN SEKKEI LTD、提供:東急)

▲宮益坂地区第一種市街地再開発事業(宮益坂地区市街地再開発組合)