ANA、夜の羽田でファン向けイベント 駐機中の787-9、全方位からじっくり撮影

全日本空輸(ANA)は4月27日、夜の駐機場に出て飛行機を間近で撮影できるイベントを羽田空港で開催した。

整備センターに所属する2人の社員が、航空ファンに喜んでもらおうと企画したもので、NH113便としてヒューストンから羽田空港に27日午後2時52分に到着し、機体整備を終えたボーイング787-9型機(機体記号:JA836A)を、格納庫前の202番スポットに用意した。

▲イベント発案者の1人で元ライン整備士の中野裕晃さん

撮影会の前には、イベントを発案した元ドック整備士の白石明華音さんと、元ライン整備士の中野裕晃さんが787型機の外観の特徴について解説。機首上部に設けられた運航乗務員用の非常脱出口や、客室内に空調用の圧縮空気を送るキャビン・エア・コンプレッサー(CAC)、コックピットのワイパーの定位置が横向きではなく縦向きになっていることなど、マニアックな見どころを紹介した。

参加者はその後、機体工場見学「ANA Blue Hangar Tour」のコースにもなっている格納庫を経由して、普段は立ち入ることができない駐機場へ。ボランティアで参加した整備士や運航管理者、客室乗務員らと交流しながら約60分かけて機体の周りを一周し、エンジンやランディングギアなどの細部まで思い思いのアングルでじっくり撮影していた。ANAによると、3月28日午後2時の受付開始からわずか3時間ほどで30名の募集枠が埋まったという。

白石さんと中野さんは、社内の新規事業提案制度「がっつり広場」で「夜の飛行機撮影会」シリーズを提案。3月23日に第1弾として、羽田空港の格納庫内でボーイング777-300ER(機体記号:JA787A)の撮影会を開いた。今回登場したJA836Aは、ANAの主力機の一つである787-9型機のうち、初の国際線仕様機。2人は、「前回は大型機の777-300ERを見てもらったが、次は787-9を見ていただきたいという思いがあった」といい、「ゴールデンウィーク初日で機材繰りが難しい中、関連部署の協力で用意できた」と機材の用意に苦心したという。

▲イベント発案者の1人で元ドック整備士の白石明華音さん

がっつり広場はコロナ禍の2021年度に始まった制度で、短期間で収益化でき、継続可能な事業案を社員から広く募集。これまで、整備部門の社員が提案した穴守稲荷神社とのタイアップ御朱印帳の商品化や、人材サービス部門の社員が提案した廃棄する座席カバーをアップサイクルしたルームシューズの販売などが実現している。

▲787型機特有のキャビン・エア・コンプレッサー(CAC)

▲787型機の特徴となっているワイパーの位置

▲787型機特有の上部の非常脱出口

▲参加者にお土産として配られたレンズクリーナーとフライトタグ。フライトタグは白石さんがデザインし、整備士が着用したつなぎの生地をアップサイクルした