東海道新幹線、F1とコラボで「日本グランプリ号」 中嶋悟さんらが車内でファンと交流

JR東海は4月3日、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで5日から開催される「F1日本グランプリ」に合わせて、東海道新幹線の車内で現役レーシング選手らと交流できる特別列車「日本グランプリ号 supported by 鈴鹿サーキット」を東京〜名古屋駅間で運転した。

東海道新幹線を号車単位で貸し出すJR東海のサービス「貸切車両パッケージ」を活用したもので、N700S(J27編成)を1編成丸ごと使用。レーシングドライバーの野尻智紀選手、松田次生選手、松下信治選手、笹原右京選手の4名ほか、元F1ドライバーの中嶋悟さん、鈴木亜久里さんの2名がゲストとして同乗し、東京駅から名古屋駅までの約1時間半、参加した約290名の乗客との時間を楽しんだ。

ダイヤは主に毎週金曜日に運転されている臨時列車「のぞみ457号」と同時刻で、午後7時12分東京駅発、同8時48分名古屋駅着。中嶋さんらゲストは各号車を順に練り歩き、参加者から記念撮影やサインを求められると快く応じていた。8号車にはラジオの放送ブースのような車内放送スタジオが登場し、ゲストがノンストップのトークショーを繰り広げた。

イベントの終盤には、レース中に最も活躍した選手を選ぶ「ドライバー・オブ・ザ・デー(DOD)」をもじった、「ドレッサー・オブ・ザ・デイ」を開催。ゲストが「この日最も着飾っていた参加者」を6名選出し、その場でサインを入れたポスターをプレゼントした。

今回のイベントは、名古屋駅のJRセントラルタワーズなどを運営するジェイアールセントラルビルが、近隣の企業と連携して地域を盛り上げたいと企画。東海道新幹線の開業とホンダのF1参戦がともに今年で60周年を迎えることから、鈴鹿サーキットを運営するホンダモビリティランドに打診して実現に至った。

新幹線が舞台のイベントを行ったのには、日本グランプリを訪れる観客に対して、環境負荷の少ない鉄道の利用を促す狙いもあるという。JR東海によると、東京・神奈川・埼玉・千葉の4都県から日本グランプリを訪れる人のうち、約3割〜5割が車やバイクを利用している。ホンダモビリティランドの斎藤毅社長は、「F1開催で発生する二酸化炭素(CO2)の90%は、観客の移動に伴うもの」と説明。「2030年のカーボンニュートラルに向け、できるだけ公共交通機関の利用をお願いしたい」と環境負荷低減に協力を呼びかけた。

F1日本グランプリは、4月5日から7日までの3日間、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで開催される。