ANAマリンジャンボ、大田区の高校生がねぶたで再現 訓練施設で展示予定

全日本空輸(ANA)がかつて運航していたボーイング747-400Dの特別塗装機「マリンジャンボ」(機体記号:JA8963)が、「ねぶた」となって大田区・雑色駅近くの水門通り商店街にお目見えした。近隣の都立六郷工科高校の生徒がANAの公認で制作したもので、お披露目の場には客室乗務員も駆けつけた。

同高校では毎年11月に総合学習の一環で「六郷ねぶた祭」を実施しており、マリンジャンボねぶたは祭りで運行する山車の一つ。ANAのねぶたが登場するのは昨年度に続いて二回目だ。それまでのねぶたは武者やキャラクターを題材にしたものが大半だったが、昨年度の実行委員長を務めた生徒が大の航空ファンだったことからANAにコラボを打診。エアバスA380型機「FLYING HONU」3号機(機体記号:JA383A)をモチーフにしたねぶたを制作した。その後も学校とANAの間で交流が続き、今回もコラボすることになった。

マリンジャンボは国内航空会社における特別塗装機の先駆けともいえる機体で、ANAの累計搭乗者数5億人突破を記念して1993年から1995年にかけて運航されていた。デザインは公募され、小学生(当時)の作品が選ばれた。全体を大きな青いクジラに見立て、その上に魚やクラゲなど様々な海の生き物が描かれている。

ねぶたは全長約2.5メートル、幅約2メートル。定時制課程の生徒が実機の写真やモデルプレーンを参考に針金や和紙で手作りし、2階建て部分の盛り上がった造形などジャンボ機の特徴を精巧に表現した。カラフルな機体デザインも忠実に描き、LEDライトでナビゲーションライトやアンチコリジョンライトを再現するなど、こだわりが詰まったねぶただ。制作チームの中心となった4年生の白田亜沙子さんは、「写真と見比べながら色づくりを試行錯誤した。きれいな塗装を再現できたと思う」とほほえむ。

祭りでは生徒らが制作したほかのねぶたと共に、商店街を約1時間半かけて運行した。ねぶたを曳いた客室乗務員の松井あゆみさんは、制作中にも同校を訪れて紙貼り作業を手伝った。完成したねぶたを初めて目にした松井さんは、「マリンジャンボはお客様の中にもファンが多い飛行機。塗装の再現度が高く、素晴しいの一言」と完成度に目を丸くする。沿道から「いつもANAに乗っている」などと声を掛けられる場面もあり、「祭りを通して地域の方とも触れ合うことができ、ANAにとってもいい機会だった」と話した。

今後、ねぶたはANAに譲り渡す方向で調整中。同社によると、総合訓練施設「ANA Blue Base(ABB)」で展示する予定だという。